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国産材の利用促進についての意見書
森林は二酸化炭素を吸収・固定し、木材は製造時のエネルギー消費が少ない省エネルギー資材でもあるため、森林の循環利用は脱炭素社会の実現やSDGsの達成に大きく寄与するものである。
こうした中、我が国の森林では、戦後造成された人工林の多くが本格的な利用期を迎えており、国産材の利用拡大の必要性が指摘されている。また、大規模な豪雨災害などの自然災害が頻発している中、森林の有する土砂災害防止や洪水緩和といった機能の重要性が一層高まっている。
これらを背景に、国においては、昨年6月に法律を改正し、公共建築物に限らず、民間建築物を含む全ての建築物について、木材を重点的に利用するよう取り組むこととしており、本県も、県産材の安定供給に向けた生産拡大とともに、県産材の需要拡大を通じた地域の活性化に取り組んでいるところである。
しかしながら、オフィスビルや商業施設等の非住宅建築物については、高い耐震性や耐火性が求められ、コストがかかる等の理由により、木造化・木質化が進んでいない。また、昨年、ウッドショックにより輸入材の供給が不足し、国産材の需要が増加したが、急増する需要に国産材の生産が追い付かず、国産材の生産・流通体制の脆弱性が浮き彫りとなった。
よって、国においては、次の事項について特段の措置を講じるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
記
1 新たな助成制度や税制の優遇措置を創設するなど、非住宅建築物の木造化・木質化の促進を図ること。
2 大規模な木造建築物の設計や施工を担う人材の育成に向けた施策を推進すること。
3 輸入材の供給量の低下や価格の高騰により国内の木材需給のひっ迫が生じないよう、国産材の生産・流通体制を強化するため、伐採・搬出・流通基盤の整備に対する支援を充実すること。
令和4年10月6日
岐阜県議会議長
(送付先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、農林水産大臣、国土交通大臣、内閣官房長官