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最高裁判所裁判官国民審査の理解促進を求める意見書
日本国憲法第79条に規定される最高裁判所裁判官国民審査(以下「国民審査」という。)は、既に任命されている最高裁判所の裁判官が、その職責を担うにふさわしい者かどうかを国民が審査する制度であり、国民主権の観点から重要な意義を持つものである。最高裁判所の裁判官は任命された後に初めて行われる衆議院議員総選挙の投票日に審査を受け、この審査の日から10年を経過した後に初めて行われる衆議院議員総選挙の投票日に更に審査を受けることになる。
最高裁判所の裁判官は内閣によって任命されるが、その人選のプロセスは公表されていないことから、国民審査は、「憲法の番人」として強い権限を持つ最高裁判所の裁判官を国民が直接チェックすることができる唯一の機会となっている。
しかし、この国民審査については、制度に対する国民の理解が不十分であること、個々の裁判官に関する情報に触れる機会が少ないこと等から、これまでに罷免された裁判官はおらず、制度が形骸化しているのではないかという批判がある。
また、インターネットの普及により、例えば特定の案件のみに偏って、自分の考えと相反する判断を下した裁判官を狙い撃ちして組織的に罷免を呼びかける運動も可能となってくる。
よって、国においては、国民審査への理解を促進するために必要な次の事項について、早期に実施するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
記
1 国民審査制度に対する国民の理解を深めるため、国民審査が実施される時期だけでなく、常日ごろから制度の周知啓発を行うほか、将来の有権者である児童生徒が使用する教材の充実等を行うこと。また、個々の裁判官に関する情報提供を充実させ、この制度の実効性を高めること。
2 審査公報は、投票行動の重要な判断材料となるものであり、投票日の2日前までに各世帯に配布することとされているが、期日前投票が広まったことにより、審査公報が届く前に投票を済ませてしまう有権者が増えているため、期日前投票が始まる前までに、各世帯へ配布できるようにすること。
令和4年3月24日
岐阜県議会議長
(送付先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、内閣官房長官