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「テロ等準備罪」の新設について慎重な検討を求める意見書
政府は、「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」に基づく国内法整備の一環として、「テロ等準備罪」の新設を検討している。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を3年後に控え、テロ対策は最重要課題の一つである。テロ行為を防止するためには、国際社会と緊密に連携することが必要不可欠であり、こうした協力関係を構築する上で、既に187の国と地域が締結している同条約を締結することは極めて重要である。
しかしながら、テロ行為の防止のためには、現行法の規定に加えて、テロ行為等の準備行為の処罰を一般化する必要性や合理性が明らかにされなければならない。「テロ等準備罪」については、一般市民が対象とならないよう、犯罪の主体を「組織的犯罪集団」とする、対象となる罪を絞り込む、構成要件に準備行為を加えるなどの対応を図るとされているが、様々な懸念があると指摘されている。
犯罪の主体について政府見解では、正当な活動を行っていた団体であっても、その目的が犯罪を実行することに一変したと認められる場合には、「組織的犯罪集団」に当たり得るとしており、取締りの対象になる可能性があると指摘されている。
加えて、「テロ等準備罪」の新設は、未遂に至らない段階の行為の処罰範囲を拡大することから、捜査機関による監視等の範囲の拡大につながるおそれがあることも懸念されている。
よって、国におかれては、「テロ等準備罪」の新設について、幅広い観点から慎重に検討することを強く求め、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成29年3月23日
岐阜県議会議長
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、法務大臣、内閣官房長官