【感染拡大による医療現場への影響】
本県の一日あたり新規陽性者数は、1週間平均で3千人を超え、病床使用率も50%前後で推移するなど、夏の第7波ピーク時に近づいています。
これに伴い、医療への負荷が大きくなっています。医療従事者への感染拡大などにより、現在、一般病棟や救急医療を制限している医療機関が19機関、救急搬送困難事案も今月だけですでに60件発生しています。
こうした事案は県内すべての圏域で発生しており、冬場の転倒、交通事故の救急措置や治療など、新型コロナ以外の「いつもなら普通に受けられる医療もすぐには受けられない」深刻な状況になりつつあります。これらは皆さんにとって決して無関係なことではありません。
<救急搬送困難事案となった事例>
- 自宅で転倒し腰部を打撲(受入照会7回、40分)
- 交通事故で意識障害、歩行不能となった重症者(受入照会4回、63分)
- 入浴後、意識消失した高齢男性(受入照会5回、37分)
- 刃物で指を切断(受入照会7回、39分)
※救急搬送困難事案:医療機関への受入照会4回以上かつ、現場活動30分以上の事案
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【新型コロナ感染そのもののリスク】
また、感染そのもののリスクも決して軽視できません。今夏の第7波以降、県内では456人の陽性者が亡くなられています。この人数は、例えば同時期の交通事故死亡者数41人と比較しても、非常に大きいものと受け止める必要があります。
さらに、後遺症も大きなリスクです。後遺症患者の96%は感染時は軽症であったというデータもあり、その後、倦怠感、頭痛、不眠などに悩まされ、1年近く通院する例や、休職や休学を余儀なくされる例もあります。
【今後の懸念材料】
年の瀬も近づき、寒さが一段と厳しくなってきました。この時期は屋内で過ごす時間が増えるとともに換気が不徹底になりがちです。そしてクリスマス会、年越し、初詣、成人式など、普段会わない人が多く集まる行事も続きます。
私たち一人ひとりの行動次第では、ご自身やご家族の感染により、会いたい人にも会えず、救急搬送困難事案の更なる増加など医療ひっ迫により助かる命が助からない、最悪の年末年始になりかねません。
【オール岐阜による感染防止対策】
こうした事態を避けるため、本県の現状をレベル3「医療負荷増大期」と位置づけ、基本的対処方針(新型インフルエンザ等対策特別措置法18条)に基づく「岐阜県医療ひっ迫防止対策強化宣言」をここに発出いたします。
まず、県及び市町村では、年末年始の医療・検査体制の充実など、県民の皆様の命を守る取組みを一段と強化してまいります。
また、強い行動制限に頼ることなく、感染防止対策と社会経済活動を両立させていくためには、私たち一人ひとりの感染予防対策が何よりも重要です。
さらに、現在接種を進めているオミクロン株対応ワクチンには、従来型を上回る感染予防効果や重症化予防効果が期待されています。
県民、事業者、医療機関、市町村の皆様におかれましては、ご自身やご家族など身近で大切な人を守るため、以下の対策を「オール岐阜」一丸となって徹底していただきますよう、特措法24条9項に基づき、要請いたします。
対策のポイント
1 県の取組み
<ワクチン接種の加速化>
- 県大規模接種会場(岐阜産業会館)を1月も開設
- 市町村接種や職域接種へのサポートの徹底
- SNSなどを通じた広報の徹底
<医療体制の機能確保・強化>
- 県陽性者健康フォローアップセンターの機能強化
・一日の検査キットの配送 1,000個 → 1,500個
・確定診断可能人数 500人/日 → 1,000人/日
・相談対応体制の強化 650件/日 → 1,700件/日
・自宅療養をされている低リスクの軽症者のうち、診察が必要となった中学生以上の方への休日オンライン診療を導入(12/31~)
- 外来医療体制の確保・強化(後述「4 医療機関への要請」)
<検査体制の強化>
- 薬局などにおける無料検査(計228カ所)を1月末まで延長
- 年末年始の需要増加に対応するため、JR岐阜駅及びJR大垣駅に臨時の無料検査拠点を設置(12/24~1/12)
- 福祉施設、児童施設及び小学校の職員への予防的検査を1月末まで延長
<広報の徹底>
- 感染リスクの高い行動事例集を、ポスターやSNSにて幅広く周知
2 県民の皆様への要請 ※以下、特措法24条9項による協力要請
<感染防止対策の徹底>
- 3~5回目(オミクロン株対応)及び小児・乳幼児への速やかなワクチン接種
- 適切なマスク着用、手指衛生、密回避、こまめな換気、体調不良の際はすべての行動ストップといった基本的な感染防止対策の徹底
- 学校・部活動、習い事・学習塾、友人との集まりでの感染に特に注意
<体調不良時の対応>
- 重症化リスクが低い方(高齢者、基礎疾患のある方、妊婦などと小学生以下の子ども以外の方)は、発熱外来を受診する前に、検査キットによるセルフチェックを行い、陽性の場合は、健康フォローアップセンターに登録(症状が重いと感じる場合には、電話相談や受診を)
- 夜間や休日における体調不良の際は、まずは専門WEBサイトや電話相談窓口を利用
※WEBサイト:「救急車利用マニュアル」https://www.fdma.go.jp/publication/portal/post2.html<外部リンク>
「こどもの救急」http://kodomo-qq.jp/<外部リンク>
※電話相談窓口:岐阜県健康相談窓口 058-272-8860(24時間)
子どもの急病などの相談窓口 #8000または058-240-4199
- 救急外来や救急車の利用は、真に必要な場合に限る
<検査の活用>
- 感染者と接触があった際の早期検査
- 帰省前及び帰省先から戻った際の検査の実施(薬局や臨時の検査拠点における無料検査を活用)
- 福祉施設利用者が一時帰宅などで親族と過ごした後には検査を徹底
<外出、飲食、イベントにおける対応>
- 年越し、初詣といった年末年始の行事などの混雑した場所や感染リスクが高い場所への外出など、感染拡大につながる行動を控える
- クリスマス会、忘年会、新年会、成人式の2次会などにおいて、飲食店での大声や長時間の飲食の回避、会話の際のマスク着用を徹底するとともに、大人数の会食への参加は見合わせることも含めて慎重に検討
- 大規模イベントへの参加は見合わせることも含めて慎重に検討
3 事業者の皆様への要請
<感染防止対策の徹底>
- ワクチン接種のための休暇の取得など、従業員やその家族が接種しやすい環境づくり
- テレワーク(在宅勤務)などの推進
- 人が集まる場所での感染対策の徹底
・従業員への検査の勧奨 ・適切な換気 ・手指消毒設備の設置
・入場者の整理、誘導 ・発熱者などの入場禁止 ・入場者のマスク着用などの周知
- 福祉施設における抗原検査キットなどを活用した集中的検査の推進
- 飲食店での十分な換気・座席間隔の確保またはパーティション設置
- 県内神社仏閣における初詣の際の感染防止対策の徹底
・雑踏境内における飲食禁止
・祈祷人数の制限や動線の制限
・初詣の期日分散の呼びかけ など
※これらの取組みは対策例です。各神社仏閣の状況に応じて、可能な範囲での対策を講じていただくようお願いします。
<業務継続体制の確保>
- 住民、取引先、顧客などに対し、一時的に業務停止する場合があることやその際の対応について事前に周知するなど、多数の欠勤者の発生に備えた業務体制を確保
4 医療機関への要請
<医療体制の機能確保・強化>
- 新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンとの同時接種に対する有効性・安全性の理解と接種の促進
- 希望する方が医療機関を受診し、その後も安心して診療を受けられるよう、診療・検査医療機関の増加、診療時間の延長や特に年末・年始における休日診療体制の拡充など外来診療を強化
・診療・検査医療機関数
11/9時点:808機関 → 12/23時点 823機関(+15機関)
・年末・年始(12/29~1/3の6日間)における休日診療体制
R3:延べ569機関 → R4:12/23時点 延べ857機関(+延べ288機関)
- 濃厚接触となった医療従事者が待機期間中であっても抗原定性検査を行い医療に従事できる運用を可能な限り実施
5 市町村への要請
<ワクチン接種の加速化>
- ワクチン接種について、あらゆる媒体による積極的な広報を行うとともに、個別接種、集団接種を加速化
<感染防止対策の徹底>
- 感染拡大傾向が顕著な市町村については、独自の対策を策定
※策定済み市町村:高山市、中津川市、恵那市、各務原市、飛騨市、北方町、白川村
- 成人式とりわけ2次会における感染防止対策徹底の呼びかけ
・人との距離や会話の有無によるメリハリをつけたマスク着用
・適切な換気
・大人数の会食への参加について、慎重な検討を呼びかけ など