ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 知事記者会見 > 令和5年度 > 知事記者会見録(令和6年5月21日)

本文

知事記者会見録(令和6年5月21日)

※知事、諸橋取締役社長及び記者の発言内容については、事実誤認や単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、発言の趣旨を損なわない程度に整理して作成しています。

令和6年5月21日(火曜日)14時00分


司会
 それでは、ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は発表報告の1つ目といたしまして、住友大阪セメント株式会社との包括連携協定締結式を行います。そのため、住友大阪セメント株式会社 代表取締役取締役社長 諸橋央典様にご出席いただいております。
 締結式の流れでございますが、協定の締結、写真撮影、諸橋取締役社長からのご挨拶、知事からの挨拶、質疑応答という形で進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、協定の締結に入らせていただきます。
 お手元の協定書にご署名いただき、署名が終わりましたら協定書を交換していただきますようお願いいたします。それではお願いいたします。

(協定書署名)

司会
 
どうもありがとうございました。
 それでは、写真撮影に移らせていただきます。
 恐れ入りますが、ご起立いただき、お2人で協定書をお持ちのうえで、中央にお寄りください。

(写真撮影)

司会
 
ありがとうございました。
 ご着席ください。
 それでは、諸橋取締役社長からご挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。

諸橋取締役社長
 
住友大阪セメントの諸橋でございます。私どもは、この岐阜の地で64年間に亘りましてセメント工場を操業してきておりますが、これも日頃からの岐阜県の皆様のご理解とご協力のおかげでございます。誠にありがとうございます。また、本日は、岐阜県さんと包括連携協定の締結に至り、大変嬉しく思っております。感謝を申し上げます。
 弊社は、多くの廃棄物をセメントの原料や熱エネルギーとして受け入れ、セメント製品として再資源化することで持続可能な社会の実現に向け取り組んでおります。近年は、この廃棄物のセメント再資源化ノウハウを活かし、災害廃棄物の受入れも積極的に行っております。具体的に申しますと、東日本大震災を皮切りに、熊本地震や西日本豪雨、台風19号など、各地で発生しました激甚災害による災害廃棄物を、全国にあります当社グループの5工場で受け入れてきました。岐阜工場におきましては、2020年3月から、前年の台風19号で発生した災害土砂を、また昨年も、台風や豪雨で発生した災害土砂を受け入れてきた実績があり、災害廃棄物を処理する体制が整っております。今年に入り、能登半島をはじめ、各地で地震が頻発し、また台風や豪雨による水害も毎年のように起きています。いつ自然災害が起きても不思議ではない状況です。災害はないに越したことはありませんが、万が一発生した際には、この度の包括連携協定によって災害廃棄物の処理が迅速に行えることになります。また、本協定により、更に様々な形での地域貢献活動を行うことが可能となります。
 この包括連携協定を契機に、岐阜県の皆様方とより一層の協力関係を築いていきたいと考えておりますので、今後とも引き続きよろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。

司会
 
ありがとうございました。続きまして、知事、お願いいたします。

知事
 
改めまして、本協定締結いただきました住友大阪セメントの諸橋央典社長はじめ、関係者の皆様に心から感謝を申し上げる次第でございます。
 今、お話がありましたように今年1月に石川県で能登半島地震が発生したわけでありますが、244万トンもの災害廃棄物が発生しております。その処理が大変大きな課題になっているということを私どもも見ているわけであります。よく申し上げますが、「明日は我が身」どころか「今日の我が身」という心構えで、あらゆる事態の対応策を練っていく必要があると感じているところでありますが、そうした中で今後の災害の備えとして、これまで長い間岐阜県とご縁があり、また、災害廃棄物の受入れ実績をお持ちの住友大阪セメントと包括連携協定を締結して、更なる連携を深めていくということは、持続可能な「清流の国ぎふ」を目指す本県にとりまして大変意義深いことであると思っております。今回の協定は、お手元の資料にありますように、幅広い分野に亘って連携協力するということでありますが、何と言っても社長からお話がありましたように、災害時の早期復旧が1つの大きな柱でございます。具体的には、県内で大量の災害廃棄物が発生した場合に、受入れの調整及び迅速かつ円滑な処理に向けてご協力いただくほか、復旧資材として必要となるセメントの供給情報をご提供いただくことになっております。その他、廃棄物のセメント資源化による環境負荷低減活動、学校への講師派遣や工場見学を通じた環境教室への協力、地域の見守り活動への協力はもとより、セメント工場の観光資源としての活用など、幅広い分野において連携協力するということで、同社の知見、ノウハウを多いに大いに活用させていただくことになるわけであります。
 まさに本県にとりましては、住友大阪セメントは欠かせないパートナーでありますが、本日の協定を契機として、更なる連携を深めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

司会
 ありがとうございました。
 それでは記者の皆様から、協定に関するご質問をお受けいたします。

記者
 
(協定の相手方に)住友大阪セメントを選ばれた理由がございましたら、もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。また、この他に、こういった協定はどんどん拡げていくお考えなのか教えてください。

知事
 
住友大阪セメントは、県内のセメント事業の約4割を販売しておられますし、この県庁舎も含めまして、様々な事業でセメントを活用させていただいております。それから下水道汚泥の処理でありますとか、廃棄物の副産物をセメントの原料の一部として活用するなど、色々とやっていただいておりますし、他県で発生した産業廃棄物も岐阜工場で受け入れて処理していただいている実績もあります。そのような様々な実績を踏まえて、私どもとしてはこのテーマでの協定としては、いの一番は住友大阪セメントという考えでありました。それ以外の可能性について、特に否定しませんが、差し当たりまずはこの連携を深めていくということです。

記者
 
知事に伺いますが、今回の包括連携に当たって、これは岐阜県側から呼びかけて協定を結んだということでしょうか。その場合、どういった問題意識からこの包括連携協定を結ばれたのでしょうか。

知事
 
厳密にどちらから声をかけたというのは定かではないのですが、かねてからの産業廃棄物をめぐるご縁の中で、既にいろんな協力やお願いしたりすることがしばしばある中で、特に今年は能登半島地震もありましたし、全国的にみると住友大阪セメントは5県と既に協定を結んでおられるということで、しっかりとした包括連携協定という形で、私どもも手を挙げさせていただいたということです。

記者
 
今年に入って1月の知事会見でもありましたように、汚水の集合処理に関する協定も結ばれましたし、災害時ということで広く見れば、県のリハビリテーション協議会とも協定を結ばれて、災害を意識した協定を進めている中で、今回こうした協定を結ばれたということで、次々と協定を結ばれている狙いについて改めて教えてください。

知事
 
行政のテーマを着実に遂行していくうえで、単に行政単体でできることもありますし、やらねばならないこともありますが、民間企業や他のセクターにおいて様々な知見、経験があるわけで、そういった所と連携をすることで、対策の効果が1+1が3にも4にもなるということで、積極的に連携を進めていきたいという思いでいます。これも1つの行政のあり方と言いますか、行政以外のセクターとの連携によって、行政もパフォーマンスを高めていくということです。特にこのところは、危機管理ということが念頭にありますが、例として挙げると、先般、西濃運輸とも2024年問題という観点で協定を締結しましたが、どうしても危機管理、安全・安心ということが課題としては最も大きく見えているのではないかと思います。

記者
 
知事に伺います。今回柱となっているのが、災害廃棄物の受入れということですが、県として災害廃棄物の受入れ早期実現という内容の連携協定は初めてのことになりますでしょうか。また、今回の協定は、能登半島地震を受けて締結に至ったという理解でよろしいでしょうか。

知事
 
少し前の話をしますと、東日本大震災の時に、東北の災害廃棄物を全国でどう協力して受け入れていくかという議論が一時高まった時期があるのですが、その時も実は住友大阪セメントの岐阜工場の皆さんと、いざ各県それぞれで対応するとなると、こちらのキャパシティをお借りすることにとなるかもしれないということで、内々に準備をさせていただいたこともありました。それから長野県などの近隣県でいろんな災害が起こった時にも、本巣市の了解も得て、災害廃棄物を処理していただいておりますし、そういうことの積み重ね、それが信頼関係と言いますか、そういう中で能登半島地震も1つの契機になったということでご理解いただければと思います。

記者
 
諸橋社長に伺いたいのですが、過去も災害廃棄物の受入れ実績があるということですが、全て受け入れたものはセメントに再資源化されているということでよろしいですか。

諸橋取締役社長
 
先ほど説明させていただいたとおり、色々な災害廃棄物について、例えば土砂災害、あるいは今般の能登半島地震でもありましたが、家屋が潰れた際の木材等たくさんあるのですが、セメントの場合、熱エネルギーの代替、石炭の代わりに代替する木材ですとか、それと原材料に使う部分と両方ありますので、全てそのような形でリサイクルに使用させていただいています。しかもセメント産業のリサイクルというのは、2次的な廃棄物が出てこないという特徴もありますので、全てセメントの生産のために使用するという特徴があります。

記者
 
これは比較的新しい技術になるのでしょうか。

諸橋取締役社長
 
昔は災害廃棄物の受入れはしていませんでしたが、平成に入ってから、かれこれ30年くらいになろうかと思います。

記者
 
岐阜工場にもそういったプラントがあるということでしょうか。

諸橋取締役社長
 
はい、岐阜工場にもございます。

記者
 諸橋社長に伺います。同じような質問となりますが、基本的にはどんなものでも、熱エネルギーになるか、材料になるかということでしょうか。

諸橋取締役社長
 
燃えるようなものであれば、熱材料に使えるような形になります。ですので、廃プラスチック、木質チップや木材、廃タイヤ等ありますが、そういうものは熱エネルギーの代わりとして代替します。それと原材料の方は、セメントの主な成分というのが、カルシウム、ケイ素、アルミニウム、鉄の4つの元素から成っていまして、この4元素を含んでいれば、セメントの原料に使用可能ということでございます。

記者
 
今回の協定を機に、廃棄物のセメント資源化等による環境負荷低減ということで、包括連携協定を受けて、新たに日常的に受入れを増やすということでしょうか。

諸橋取締役社長
 
既に岐阜県の各市町村から、下水の汚泥、あるいは下水汚泥の焼却灰、このようなものは受入れをさせていただいております。

記者
 
今回の協定で、更にそれを増やすということでしょうか。

諸橋取締役社長
 
市町村の廃棄物の処理場が故障するというような緊急時のケースに、私どもに対応願えないかということであれば、対応させていただければと考えています。

司会
 
以上をもちまして、協定締結式を終了いたします。諸橋取締役社長は、ここで退席されます。どうもありがとうございました。
 それでは、記者会見の他の項目に移らせていただきます。知事、お願いいたします。

知事
 
私から2点、お手元にお配りしたものについてご報告いたします。1つは、「ぎふ若者定着奨学金返還支援制度」ということで、これは新年度予算の時にも説明させていただいたと思いますが、これから就職活動を行う若い人向けに、県内企業に就職するとこういうインセンティブがあるんですよということで働きかけをしようということで、新たにお手元の制度を創設いたしまして、6月1日から募集を開始いたしますので、お伝えいたします。お手元の資料にありますように、まずこの制度は、学生さん及び県内で積極的に学生さんを受け入れたい企業がそれぞれ登録していただいて、そして登録した者同士で県内で一定期間働いていただくと、企業と県が半分ずつお金を出し合って、奨学金の繰り上げ返還に充てるということで、奨学金貸与機関に対して県と就職受入企業が一緒になって、奨学金を払っていこうという制度でございまして、やはり様々な形で県内企業への若者の就業促進の事業をやっておりますが、まだまだ人材不足感が強い中で、こうした新しい仕組みを導入してみようということでございます。奨学金を返済する学生さんや若者、また採用する企業にとりましてもメリットのある制度ですので、県内企業の皆さんには奮ってご登録いただいて、また県内外の若者の方々には本制度を活用していただいて、結果として県内就職促進ということに繋がればと思っているところです。
 それから、もう1つの資料が「岐阜県日本語学習支援センター」の開設でございます。これは、国際交流センターの中に開設することにしておりまして、6月18日に開所式を行わせていただきます。まず、県内の外国人県民ですが、昨年末の時点で6万9千人ということで、岐阜県にとりましては、この数字は過去最高の数字でございます。人口減少社会と言われる中で、外国人県民の担う役割というのがさらに重要になってきているということでございます。国の方でも育成就労制度の創設が予定されておりますし、今後さらに増加すると見込まれるわけであります。その際に外国人の方々が、安心・安全な地域生活を送るうえではまず日本語の習得が大変重要であるということで、そのための取組を強化していこうと、その一環でございます。このセンターは日本語教育人材の育成、それから市町村や企業が設置する地域日本語教室への支援といったことを通じて、外国人県民の日本語学習に関する支援のワンストップサービスの窓口として行うということでございます。これによって、外国人県民の皆さんが、日本語、日本文化、あるいは地域のルール、そういったことについてしっかりと学習していただく環境づくりに対して一層力を注いでいきたいと思っておりますし、日本人の皆さんにも多文化共生社会ということで、しっかりと受け入れていただきたい、そのような思いで開設させていただくということでございます。私からの報告事項は以上でございます。

記者
 
瑞浪市でのリニア工事に係る水位の低下について伺います。JR東海が工事を一時中断して、ボーリング作業を行うということを明らかにしましたが、この件のJR東海の動きについて、率直な所感を教えてください。また、今回の件が明らかになってから、JR東海側から県に対して何らかの説明があったか、もしあったのであれば、どのような方がどのような説明をされたか教えてください。

知事
 
今回の出来事は、2月20日にJR東海が工事用の観測井に水位の低下が見られると、それからトンネル内の湧水量が増えてきたということを確認されまして、その後様々チェックをし、それから地元の皆様ともやり取りを続けてこられました。最終的に4月下旬に、井戸が9箇所、共同水源が3箇所、ため池が2箇所、合計14箇所において、減水ないし枯渇があると確認されたわけであります。そのうえで5月に入りまして、JR東海から県の方に事案の連絡があったということでございまして、2月20日に確認されたところから5月1日までの間、県としては承知していなかったわけでありますので、こうした問題について速やかな情報の共有ということも不可欠でありますので、そういった意味で大変残念と言いますか、遺憾に思っているところであります。そのうえで、事案の報告がありましたので、私どもとしては数度に亘って、JR東海とはこれまでの経緯とか、具体的にどこで何が起こっているのかとか、データとか色々とやり取りを進めてまいりました。そういう中で、5月13日に大湫で住民説明会が行われまして、これが一つの公に広く認識されるきっかけになったわけですが、これを受けて、瑞浪市も市民の受け止め方や懸念について、住民意見の集約ということで、県とJR東海に連絡がありました。そして、私どもとしては、5月15日の時点で、それまで分かったことを踏まえて知事コメントを出させていただいたわけでございます。この問題は住民生活に直結する問題でありますので、県として強い懸念を抱いているというのが第1点、それから第2点は、JR東海におかれては、徹底した調査を実施して原因を究明し、地元住民の十分な理解を得つつ、必要な対策を早急に進めてもらいたいと、第3点がこうしたことに当たって、県及び瑞浪市と緊密な情報共有をお願いしたいと、この3つを知事コメントということでJR東海と記者の皆様にもお届けしました。その後、さらにJR東海の方から、社長の記者会見が5月16日の午後にあるということで、その直前に基本的な趣旨についてのお話が(県に)ございました。社長の記者会見については皆さんご存じのとおりですが、それに対しまして、私どもと瑞浪市が連名で申入書を出しておりまして、水の湧出が続いている区間に薬液を注入するといったことなど、湧水減少対策をやるということを言われるわけでありますが、具体的にどのような内容で、どのようなスケジュールでやるのかと言うことを明らかにしていただきたいということと、もう1つは、現時点からさらに200m掘り進むという話がありましたので、さらに掘り進む理由は何なのかと、むしろここで一旦工事を完全に止めたうえでボーリング調査をするべきではないかということの2点をJR東海に申し入れたところであります。そのうえで、昨日、JR東海から県及び瑞浪市に対して、トンネル工事を現時点で即中断をするということの連絡がありました。昨日、私どもは、JR東海、それから瑞浪市、専門家の方々と色々とこの問題について突っ込んだ議論をいたしまして、現在この問題にある様々な課題について整理をしようとしているところでございまして、この課題の整理が終わりましたら、県の今後の進め方についての意見を包括的に取りまとめて、またJR東海にもお届けしたいという状況にあるわけです。私どもは、JR東海が当初、工事は一旦中止するものの、あと200mは掘るのだと言う話がありましたが、それを昨日の時点で私どもの申入書の趣旨に沿って直ちに工事を中断して、調査、対策を徹底するという判断については、私どもの考えが受け入れていただけたものと評価をしているといったところが全体の流れでございます。

記者
 
先ほどご説明がありましたとおり、JR東海の方では来月から水平ボーリングの地質調査を始めるということですが、県の方で専門家を交えた会議を開く予定はありますでしょうか。

知事
 
専門家を交えた会議は、第1弾を昨日行いました。昨日行った議論は、まずそもそもこの因果関係について実態把握・調査、そういったことについて十分なされているのかどうかという論点、それから応急対策としていろんなことが言われておりますが、その応急対策の内容についての評価、それから恒久対策ということで、長期に亘って、井戸を掘るとかいろんな対策が言われておりますが、そういったことについてもどのような考え方で進めたら良いのかと、それからそもそもこのJR東海、県、沿線市町、この辺りの情報提供なり情報共有なり、そういったことについてもっとスムーズにやるべきではないかとか、そのような議論を中心に昨日かなり議論をいたしまして、それを踏まえて県としては、一応それを整理した上で、改めて専門家会議を開きたいと思っております。調査・作業、いろんなことが今動いておりますので、できるだけ早急に整理をしたいと思っております。

記者
 
御嵩町についてですが、工事に伴う残土の受入れについて、今月10日に健全土のみ受け入れるという協議方針を示していましたが、今回の瑞浪の水位低下の問題を受けまして、協議を一時停止することになりました。この一連の判断について、知事の評価をお願いします。

知事
 
御嵩町の方では、そもそもこの残土をどうするかについては、新町長になってからかれこれ1年、様々な議論を続けてこられて、意見の集約を図ってこられた、その上での町長の発表であったと私ども理解しておりまして、そういうこととして重く受け止めたいと思っております。それから、協議を一旦停止するというのは、まさにこうしたことがどう処理されていくかというのを、しっかり見届ける必要があるだろうと。残土問題は残土問題、それから水の問題は水の問題と分けるのではなしに、様々な環境についての問題がどういう形で納得いくように解決されていくかというのを見届けながら、基本的にはリニアをどう進めていくかという観点かと思いますが、そこをまず見届けたうえでという判断だと思いますので、それも地元のそういう思いを反映したものとして、私自身は受け止めております。同じように沿線各市町もそれぞれの工事が進んでいるわけでありますが、いろんな懸念もあろうかと思いますし、それから事の大中小は様々あると思いますが、地元と相談をしたり、やり取りするような個別の案件もあるわけですから、私どもとしては、多治見市、中津川市、瑞浪市、恵那市、土岐市、可児市、それから御嵩町、沿線市町との連携について、もう一回きっちり再構築しようと思っております。と言いますのは、瑞浪市自身も2月26日以降JR東海とやり取りしていたわけですが、瑞浪市からの報告も県に対してなかったわけでありまして、従って、沿線市町の相互の連携・協力・情報共有も、お互いにこれは他所事ではなくて一連の工事の中で起こりうる問題として、一体となって情報を共有し、対策についてしっかりと見つめていくということで初めて沿線住民の皆さんも安心して見ておられるということでありますので、県とそれから沿線の市町との連携ということについては、もう一度しっかりとした体制を組みたいと思っておりまして、そのことについて近々首長会議をやりたいと思っております。

記者
 
(5月)26日投開票の静岡県知事選挙についてですが、新人同士が激しく争う構図になりそうですが、静岡は岐阜と同じようにリニアの問題に直面しているところですが、新知事への期待をお願いします。

知事
 
静岡県の県政をどなたが担うかということを静岡県民の皆さんがお選びになるわけですから、私どもとしては静かに見守っているということでありますし、何もリニアの問題だけで静岡と岐阜が繋がっているわけではありませんので、様々な中部地方全体としての、中部9県のいろんな協力もあるわけですので、そういう意味で隣県の重要な選択と言いますか、政治的な選択がここで行われるということで、少なからず関心を持って見させていただいているということでございます。

記者
 
瑞浪市の方は2月26日以降もJRと連携していたが、瑞浪市から県への報告はなかったということですが、知事としても沿線市町との連携をしっかりしたいということですが、瑞浪市から県に情報共有がなかった点について、知事としてどのように受け止めていますか。

知事
 
県としても環境アセスメントを工事のスタート前に、JR東海とやり取りしているわけですし、環境問題全般には目を光らせていく立場でございますので、そういった意味でも連携は不可欠だと思いますので、そういう意味では残念であったと言いますか、お互い十分徹底できていなかったということについては、反省しなければいけないと思っております。

記者
 今国会で審議が進んでいる地方自治法の改正案についてですが、改正案を巡って、国の自治体への指示権を拡大するということに関して、国と地方は対等であるという地方自治の原則に反するのではないかという指摘であったり、国の不当な介入を招く恐れがあるのではないかと懸念する意見がありますが、知事として国会で審議が進んでいる地方自治法の改正案についての受け止めを教えてください。

知事
 最大の関心は、この規定がどの場面でどのように適用されるのかということでありまして、大規模な災害・感染症とか、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態とか、生命の保護に特に必要な場合とか書いてあるのですが、一方で行使は必要最低限と書いてあるわけで、そこから先はまだ必ずしも明らかになっておりませんので、考え方として国を挙げて守らなければいけない事態になれば、当然国は国としての役割を果たすということはあるわけでありますが、この法律のこの改正条文によって、どういう事態の場合に何をするのかというところは、更に突っ込んだ議論がいるのではないかと思っております。それからいずれにしても、ある種地方に対する指示をするということでありますので、当然指示をされる側の地方に対しても、この制度の運用とか、考え方とか、あるいは具体的に制度を作り上げていくうえでは十分協議をしていただきたいと、制度構築の上での地方との連携をぜひお願いしたいと、これは一般論として言えるわけであります。より具体的に考えると、コロナの経験を踏まえて、この条文が出てきたとすると、このコロナの3年半を振り返って、いつどのタイミングで、どういうことについて国の指示権が発動されるべきであったか、どういう点についてこの権限がないからできなかったのか、コロナの過去の3年半の具体的な事情の中で、どの部分のどういう反省に立ってこの条文ができているのかというところについて突っ込んだ議論がなされれば、私どもがその時に我々はどうしていたかとか、事態はどうであったかということも議論できると思いますので、今後更に議論を進めていくうえで、そういった一番端的に、記憶に新しいこの3年半のコロナ対策の中で、この指示権がなければできなかったことは一体何だったかとか、あの時にこれがあればこういうことをしていたはずだとか、そういったところを具体的に議論することが大事ではないかと、そうするとイメージが湧いてくると、そう思っています。

記者
 
リニアの件で、昨日、専門家の方を含めた会議があったということで、どういった専門家の方がいらっしゃって、意見として何か得たものがあれば伺いたいです。

知事
 
私どもはすでに環境アセスメントから始まって、専門家の方々と相談をしながらずっとやってきているので、まさに水や地盤や岩盤などについて知見のある専門家の方7名に、実際に県庁に来られた方もいますし、ウェブで参加された方もいますが、ご相談している方に集まっていただいて、かつJR東海も瑞浪市も入って一緒に議論しました。議論の内容は先程も少し申し上げましたが、論点としては、まず影響範囲の把握がどうであったか、そして周辺地域の環境変化の実態把握がどこまで進んでいるのか明らかにしないといけない、それから大湫地域における地下水低下の原因は何か、このトンネル掘削と地下水低下との因果関係をどのように検証していくのか、その検証の仕方が十分にできているのかと原因の究明、それから応急対策として水が出ているところの止水対策の有効性、スケジュール、内容、それから生活用水や農業用水をどう確保するかといった点、それから被害の拡大を防止する上で、工事の一時停止は是非必要ではないかという議論。それはまさに昨日、JR東海も即停止していただいたのですが、それから今後、工事は停止してボーリングで調査を進めていくのですが、そのボーリングが何を狙って、どういうやり方で調査を進めていくのかということ、それからそうしたデータや様々な調査をどうモニターしていくか、フォローしていくか、それから恒久対策について、地元の皆さんは「水を戻してください」、「元の水にしてください」と言っているわけですが、今、応急処置として上水を回すという話や新たに井戸を掘るという話がありますが、新たに井戸を掘るということが恒久対策としてどうなのかと。掘ったことによる影響はないのか、どこを掘るのか、元の水を戻してくれということに対して、住民の皆さんが新しい井戸で納得できるのかどうか、元の水に戻すという観点でもいろいろと恒久対策としても検討すべきことが多々あるのではないかということ、恒久対策によって環境回復はどこまで可能かというのを見届けなければならないとか、あと情報共有ということで県、市、住民の皆さん、沿線市町への報告・情報提供ネットワークをしっかりと構築すべきだと、幅広く長時間に亘って議論していただきました。

記者
 
過去のトンネルでの死亡事故などで、新たな会議体や環境アセスメントの中で対応されていると思いますが、県として速やかに検証や専門家との話し合いを進めたいと言われました。これまでに時間をかけて慎重に議論されたこともあったかと思いますが、今回の問題では、どういう視点で対応していこうと考えていらっしゃるか教えてください。

知事
 
現に先程も申し上げましたが、14箇所で具体的な渇水や断水が起こっているので、原因究明、当面の応急対策、その原因究明の結果を踏まえた恒久対策、この場所だけではない他でも起こりうるかもしれないということで沿線市町の連携、そういったことを今回の事態を契機にきちっと整理して、しかも速やかにやりたいということで、時間を掛けてというよりは速やかに県としての考え方をまとめて、JR東海に示したいと思っています。

記者
 
(昨日の)専門家会議というのは、いわゆる環境影響評価審査会とは別ものでしょうか。

知事
 
先生方は重なりますが、昨日は自由率直にどんどん意見を言っていただく、それで論点をきちんと見定めるということを中心に、あるいはこれまでの経緯が何だったかということをJR東海からもデータも含めて詳しく聞くということでしたので、今度はまとめていく中で正式の審査会を開いて、それを踏まえた県の意見をお出ししたい。この次は、公式の手続き、フェーズに入ると考えています。

記者
 
昨日はまず緊急的に集まっていただいてご意見をいただいて、次の段階として審査会を開くということで、タイミングとしていつ頃でしょうか。

知事
 
ゆっくりやるつもりはありません。

記者
 
JR東海から報告が出て審査会を開くのでしょうか。

知事
 
昨日の段階でもJR東海もいろんなことを考えてやっているので、昨日出た議論としてはそういう対策一つ一つが十分かどうかとかいろんな角度からその対策そのものについてもよく見極める必要があるということも意見が出ました。まとめると言っても、そこで何か結論を出すということではなく、まず調査するにあたって考えるべきことは何か、どこまでどういうタイミングで調査するかというところから始まって、それぞれについて、ある場合は具体的な対策をお願いするかもしれないし、ある場合は方向性なり検討をお願いするかもしれないし、そこはテーマごとに濃淡があると思いますが、いずれにしても審査会のルートに乗せて県としては早急に検討したい。それは1回で終わりではないので、まず第一段階のレポートが出て、またその後ということもあると思います。

記者
 
県と瑞浪市からJR東海への工事中止の申し入れは先週の金曜でしたでしょうか。

知事
 
申し入れは16日の午後、JR東海の社長の会見の少し前くらいです。社長の会見では、従来の 200m掘り進むという方針でしたが、私どもとしては、ここで立ち止まられてはどうでしょうかと申し入れたものです。

記者
 
現在、工事が中断していますが、再開に向けてどういった条件が必要ですか。

知事
 
今申し上げたような論点についてまず方針を定めて、JR東海も地域の皆さんも含めて、これでいこうということで、理解を深めながら作業を進めていく。作業の進め方について合意をして進めてく。その進捗を見ながら、どのタイミングで再開するかまた判断されるので、今日の時点でいつとはとてもまだ言えないと思います。
 以前、落盤事故がありましたが、現場検証も含めて原因、対策、それから他の地域で類似の事例は無いか、起こり得ることは無いか点検し、そういったことも含めて最終的にJR東海として対策を出されて、それを関係者の皆さんが納得して了解して、工事が再開されているので、同じような道筋を辿るのではないでしょうか。

記者
 
何をもって対策をやってきたと言い切れるか難しいと思いますが、住民の理解があってはじめて工事を再開できるのか、それとも県や瑞浪市が了解したら再開できるのか、いずれに近いのでしょうか。

知事
 
そこは具体的な対策が出て、皆さんが納得できる対策であれば、今までもそうしているわけです。例えば、一人が反対したらどうするかという類の議論ではなくて、とにかく納得いく答えをとことん追求して、納得していただいて、前に進んでいく。これまでもそうしてきましたし、これからもそういうことだと思います。​

<外部リンク>