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クモマベニヒカゲ

クモマベニヒカゲ ErebialigeatakanonisMatsumura 準絶滅危惧
(環境省:準絶滅危惧) チョウ目ジャノメチョウ科
選定理由 分布域の一部において生息条件が悪化しており、種の存続への圧迫が強まっていると判断される。 写真を拡大表示します
形態の特徴 翅を広げた大きさは35mm前後の蝶である。翅の地色はエンジ色をおびる黒褐色で、翅のやや外よりに橙色の帯状紋があり、その中に小さな黒色紋が列をなす。
生息環境 高山帯下部の森林限界付近に多く、ダケカンバやミヤマハンノキなどの疎林に囲まれた草地を好む。
生態 成虫は7月中旬頃から現れ、いろいろな高山植物の花で吸蜜をする。8月には急速に少なくなる。幼虫の食草はイネ科のイワノカリヤスやカヤツリグサ科のタニスゲなどである。タカネヒカゲと同様に、幼虫は二度にわたって冬を越し、足かけ3年で成虫となる。
分布状況 国内では北海道と本州中部の高山帯に分布する。国外ではヨーロッパからシベリア、サハリン、朝鮮半島に分布する。県内では北アルプスの北ノ俣岳から乗鞍岳にかけての高山帯に生息する。白山の高山帯の一部にも記録がある。 分布情報図を拡大表示します
減少要因 県内の生息地は登山者の多い地域であり、踏み荒らしによる食草の消失や成虫の活動域の縮小が危惧される。また、昆虫愛好家による乱獲も減少要因として挙げられる。
保全対策 生息地の全てが国立公園内であり急速に環境が変化することはないと思われるが、登山道以外へ立ち入らないよう配慮すべきである。
特記事項  
参考文献
  • 西田眞也、岐阜県の蝶
  • 信州昆虫学会、信濃の蝶
  • 藤岡知夫、日本産蝶類大図鑑

文責:榎信好