選定理由 |
大部分の生育地で生育条件が明らかに悪化しつつあり、個体数が大幅に減少している。 |
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形態の特徴 |
高さ1m前後の多年草。花は淡紫色で5つの花からなる頭花が茎の先に数多く集まって形成されている。葉は長さ10cm前後で3つに深裂する。 |
生育環境 |
丘陵帯から山地帯の河川敷や堤防のやや湿った背の高い草地に生育する。中国原産の植物で奈良時代に渡来したといわれている。 |
生活史 |
開花時期は8月頃である。 |
分布状況 |
関東以西の本州、四国、九州に分布。国外では朝鮮半島、中国に分布。県内では美濃地方の木曽三川中・下流部に確認記録がある。 |
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減少要因 |
本種の生育場所はかつて農道の路傍や用排水路周辺などにあった定期的な草刈りにより維持されてきた二次草地である。しかし、こうした場所は耕地整理などにより立地自体が減少している。 |
保全対策 |
本種の生育環境となる二次草地は、そのまま手をつけずに保全するよりもむしろ草刈りなど積極的な管理が必要である。 |
特記事項 |
秋の七草の一つである。ちなみに秋の七草とはハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウをいい、本書では本種以外にキキョウを準絶滅危惧に選定している。生乾きのとき桜餅のような香りがあり、昔、我が国や中国などで香草として愛用されたという。 |