選定理由 |
大部分の生息地で生息条件が明らかに悪化しつつあり、個体数が大幅に減少している。 |
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形態の特徴 |
殻の長さが10cm前後になる淡水産二枚貝である。殻は褐色から黒色になり、内側は青味がかった真珠光沢が強い。 |
生息環境 |
夏季でも水温が20度以上にならないような河川上流の泥〜礫底に生息する。生育場所の流速は比較的速く、多くは早瀬〜平瀬に生息する。 |
生態 |
川底から殻の半分程度を出し、直立して生活する。8年(殻長約5cm)で性成熟し、最大寿命79年(殻長136.2mm)の記録がある。繁殖期は春〜夏、水温が10℃を超える頃に幼生の放出が起こる。幼生はヤマメ、アマゴ、ニジマスのえらに寄生し、40〜50日で稚貝になり、脱落して水底生活をするようになる。 |
分布状況 |
北海道、本州に分布する。県内では高山市、下呂市、郡上市以外に、揖斐川町、岐阜市などでも確認されている。アマゴ、ニジマスなどの移動にともなう偶因分布の可能性も否定できない。 |
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減少要因 |
土地開発や河川改修、圃場整備などにより、生息場所が消失している。排水路のコンクリート化による、生活廃水の浄化能力低下も生息環境を狭めている。水質の低下は、幼生の寄主であるヤマメ、アマゴなどの清流にすむ魚類が減少するため、持続的な種の維持ができない。 |
保全対策 |
寄主となる魚類やそのえさとなる小動物、昆虫も含めて、生息地とその周辺の環境保全に配慮する。 |
特記事項 |
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参考文献 |
- (財)自然環境研究センター(2002)自然環境保全基礎調査生物多様性調査動物分布調査(陸産及び淡水産貝類)報告書
- 近藤高貴(2008)日本産イシガイ目貝類図譜.日本貝類学会特別出版物第3号
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