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道州制
道州制の主な動向
平成18年2月、第28次地方制度調査会の答申において、「道州制は、国と基礎自治体(市町村)の間に位置する広域自治体(都道府県)のあり方を見直すことによって国と地方の双方の政府を再構築しようとするもの」とされ、「広域自治体改革のあり方としては道州制の導入が適当」と明記されました。
その後、政府においては、国民的議論の前提となる「道州制ビジョン」の策定について議論が始められたほか、政党や経済団体においても、導入に向けた提言が公表されるなど、各方面で様々な議論がされています。
政府
- 第28次地方制度調査会が「道州制のあり方に関する答申」<外部リンク>を内閣総理大臣に提出しました。(H18年2月28日)
【答申のポイント】
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広域自治体改革は、都道府県制度に関する問題への対応にとどまらず、国のかたちの見直しにかかわる改革として位置づけることが考えられる。
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広域自治体改革を通じて国と地方双方の政府を再構築し、新しい政府像を確立する。このことは、国家的課題への高い問題解決能力を有する政府を実現する方途でもある。
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こうした見地に立つならば、その具体策としては道州制の導入が適当と考えられる。
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※地方制度調査会:現行地方制度に全般的な検討を加えることを目的に、内閣総理大臣の諮問に応じ、重要事項について調査審議する組織
- 道州制特別区域における広域行政を推進するため、「道州制特区推進法(道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律)」<外部リンク>が成立しました。(H18年12月13日)
【「道州制特区推進法」のポイント】 - 道州制特別区域は、北海道又は密接な関係が相当程度認められる地域(3以上の都府県の区域)で政令で定めるもの。(=特定広域団体)※現在は北海道のみ。
- 政府は「道州制特別区域基本方針」を作成。→政府が講ずべき措置を明記。
- 特定広域団体は、基本方針に基づき「道州制特別区域計画」を作成。
- 特定広域団体は、内閣総理大臣に対し、基本方針の変更について提案可能。
- 内閣に「道州制特別区域推進本部」を設置。
- 道州制の導入に関する基本的事項を議論する「道州制ビジョン懇談会」<外部リンク>が設置されました。(H19年1月26日)
- 道州制ビジョン懇談会が「中間報告(概要<外部リンク>・本文<外部リンク>)」を取りまとめました。(H20年3月24日)
「地域主権型道州制」の理念を提示し、道州制の導入のメリットと課題や国・道州・基礎自治体の役割と権限などについて報告。道州制の導入はおおむね10年後を目指す。※最終報告を取りまとめることなく、H22年2月廃止 - 地域主権戦略大綱(本文<外部リンク>)が閣議決定されました。(H22年6月22日)
【第9自治体間連携・道州制(今後の取組み)】※「地域主権戦略大綱」抜粋
国としては、市町村や都道府県相互の自発的な連携や広域連合等の具体的な取組を前提として、地域主権改革を推進する中で、こうした連携等の形成に対する支援の在り方を検討していく。さらには、地方や関係各界との幅広い意見交換も行いつつ、地域の自主的判断を尊重しながら、いわゆる「道州制」についての検討も射程に入れていく。また、現在施行されている道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律(平成18年法律第116号)は、特定広域団体からの提案を受けて、事務・事業の移譲等を進めていくことにより、地方の自立的発展等を図ろうとするものである。現在は北海道のみが特定広域団体に指定されているところであるが、広域連合などにより広域自治体が自主的に連携した場合には積極的に国の事務・事業の移譲等を進めるという観点から所要の検討を行う。
地方六団体
- 全国知事会は「道州制に関する基本的考え方」を取りまとめました。(H19年1月18日)
道州制の基本的考え方を示すことによって、道州制に対する立場を明らかにするとともに、政府や各政党をはじめとする関係機関に対し、道州制の検討に当たっての課題を提示。【道州制の基本原則】
- 道州制は地方分権を推進するためのものでなければならない。
- 道州は、都道府県に代わる広域自治体とし、地方自治体は道州と市町村の二層制とする。
- 国と地方の役割分担を抜本的に見直し、内政に関する事務は、基本的に地方が一貫して担うことで、地方において主体的かつ総合的な政策展開が可能となるものでなければならない。
- 役割分担の明確化に当たっては、事務の管理執行を担っている「地方支分部局」の廃止は当然のこと、企画立案を担っている「中央省庁」そのものの解体再編を含めた中央政府の見直しを伴うものでなければならない。
- 内政に関する事務について、道州に決定権を付与するため、国の法令の内容を基本的事項にとどめ、広範な条例制定権を確立しなければならない。
- 道州が地域の特性に応じ、自己決定と自己責任のもとで政策展開できるよう、国と地方の役割分担に応じた、自主性・自立性の高い地方税財政制度を構築しなければならない。
- 道州の区域については、国と地方双方のあり方の検討を踏まえて議論されるべきものであり、枠組の議論ばかり先行させるのではなく、地理的・歴史的・文化的条件や地方の意見を十分勘案して決定しなければならない。
- 全国町村会は「特別決議」を採択しました。(H20年11月26日)
強制合併につながる道州制には断固反対するとの特別決議を採択。
政党
- 自由民主党道州制調査会は「道州制に関する第2次中間報告(H19年6月14日)」を取りまとめました。(参考:第1次はH17年10月28日)
- 自由民主党道州制推進本部は「道州制に関する第3次中間報告(H20年7月29日)」を取りまとめました。
【第3次中間報告のポイント】
- 都道府県を廃止し、全国に10程度の道・州を設置。
- 国が法律で定める事項は大枠かつ最小限に。具体的事項は道州法及び基礎自治体の自治立法に。
- 道州は自治体とし、選挙で選ばれる道州議会と首長を有し、自治権を有する。
- 権限・財源・人間は基礎自治体に優先的に配分。
- 現在の都道府県の仕事は基礎自治体に、国の仕事は道州に移管し、国と道州は「小さな政府」とする。
- 平成27年から平成29年を目途に道州制の導入を目指す。
- 超党派の国会議員、地方自治体首長などで道州制実現を目指す「道州制懇話会」が設立されました。(H23年5月19日)
- みんなの党は「道州制への移行のための改革基本法案」を参議院に提出しました。(H24年3月29日)
【道州制への移行のための改革基本法案のポイント】
- 道州を設置し、地域の特性に応じた独自性のある施策を展開することができる地方自治制度を確立。
- 身近な行政はできる限り基礎的な地方公共団体が担い、道州が補完。市町村につき、基礎的な地方公共団体としてあるべき姿となる地方自治・地方税・財政制度を確立。
- 道州の区域は、道州が果たすべき役割を適切に遂行するにふさわしい範囲となるように、併せて社会経済的条件、地理的条件、歴史的条件及び文化的条件を勘案し、法律で定める。法律案の作成に当たっては、地方公共団体及び住民の意見を反映させるための措置を講ずる。
- 自由民主党道州制推進本部は「道州制基本法案(骨子案)(H24年9月6日)」<外部リンク>を取りまとめました。
【道州制基本法案(骨子案)のポイント】
- 都道府県を廃止し、全国の区域を分けて道州を設置する。
- 道州は、広域的な地方公共団体とし、国から道州へ大幅に事務を移譲させて、広域事務を処理するとともに、一部都道府県から承継した事務を処理する。
- 基礎自治体は、市町村の区域を基礎として編成し、従来の市町村の事務を処理するとともに、住民に身近な事務は都道府県から基礎自治体へ大幅に承継させて、当該事務を処理する。
経済団体
(一社)日本経済団体連合会
- 「希望の国、日本」<外部リンク>(H19年1月1日)を公表しました。
2015年度を目途に「平成の廃藩置県」として道州制の導入を目指す。 - 「道州制の導入に向けた第1次提言-究極の構造改革を目指して-」<外部リンク>(H19年3月28日)を公表しました。
- 「道州制の導入に向けた第2次提言」<外部リンク>(H20年11月18日)を公表しました。
日本経団連が考える道州制やロードマップ(2015年までに道州制導入を目指すなど)を提言。
(一社)中部経済連合会
- 「中部州の実現-効率的で小さな政府をめざして-(本文<外部リンク>・概要<外部リンク>)」を公表しました(H17年12月)
- 「道州制の実現に向けて-新しい国と地方の役割分担ならびに税体系の再構築に関する考察-(本文<外部リンク>・概要<外部リンク>)」(H20年2月)を公表しました。
地域の独自性ある行政運営のための税財政制度の創設や道州制実現へのプロセス(2015年には道州制に移行など)等を提示。 - 「中部州の姿-住みやすい地域・働きやすい地域No.1を目指して-(本文<外部リンク>・概要<外部リンク>)」(H21年3月)を公表しました。
道州制で変わる中部の地域社会として10分野の具体像などを提示。 - 「財政面から見た中部州の姿(本文<外部リンク>・概要<外部リンク>)」(H22年4月)を公表しました。
道州制導入後の「中部州」の財政の姿をシミュレーションにより定量的に示し、道州制に関する議論の活性化を促すもの。