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絹本著色仏眼曼荼羅図[けんぽんちゃくしょく・ぶつげんまんだらず]阿名院
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 郡上市白鳥町長滝中切 |
所有者 | 阿名院 |
指定年月日 | 平成15年9月19日 |
阿名院は、養老7年(723)に泰澄が開祖となり建立したことに始まる。当院には多数の絵画が遺されているが、明治32年(1899)の長滝の大火以後にかつて長滝寺にあったものもまとめ、保存したものである。仏眼曼荼羅は、仏の目を人格化した仏眼仏母を主尊とする別尊曼荼羅で、息災・調伏を祈願する仏眼法の本尊として祀られる。遺例は少なく、本図はその稀な作品である。大八幅金剛輪の上に三層の八葉蓮華があり、その中央に宝冠を戴き、定印を結ぶ仏眼仏母を置く。第一華院(最も内側の8尊の所在する領域)には、中心の仏眼尊のすぐ下に仏頂尊の代表となる一切仏頂輪王を配し、それより右回りに七曜使者をめぐらす。第二華院(内側から2番目の8尊が所在する領域)には、金剛仏頂の右下に金剛手を配し、それより右回りに八大菩薩をめぐらす。第三華院(内側から3番目の8尊が所在する領域)には、仏眼・金輪仏頂の直下に歩擲明王を配し、それより右回りに八大明王をめぐらす。大蓮華外は青緑地とし、四隅に内四供養菩薩を配する。また、外院は四方に四摂菩薩を、四隅には外四供養菩薩を配する。密教曼荼羅として貴重な作例で、制作時期は室町時代後期と見られる。