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昭和47年7月豪雨(昭和47年)
東濃地方はじめ県下各地で中小河川の氾濫、山崩れ、崖崩れ等が発生。明智町、瑞浪市で山崩れなどにより27名の方の尊い人命を失った。
気象の概況
気象経過
九州に大雨をもたらして、大きな災害を起こした梅雨前線は、7月7日には北上して東北地方まで被害を拡大しました。その後前線は再び南下して停滞。その影響は関東以西の全域を覆いました。上層には冷気流が流れ、下層には南からの湿った暖かい気流が流入して、非常に不安定な気象状態となり、また南方洋上には台風6〜8号も発生して活発な前線活動が続きました。このため、岐阜県には9日朝から雨が降りはじめ13日夜半まで断続的に降りつづき、そのうち、11日夜と12日夜半から13日未明にかけて県内に集中的に強雨が降り、特に後者の場合の東濃地方の被害は著しいものでした。その気象経過は以下のとおりです。
日付 | 内容 |
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7月9日 | 前線が南下して、朝から岐阜県にも雨を降らし始めたが、午後になって北西県境付近に厚い雨雲が現れ始め、県内の所々で1時間20ミリ前後の強雨を降らせた。 |
7月10日 |
午前中は雨の降り方は弱かったが、夕刻頃から県の中部地域に厚い雨雲が現れるようになり、揖斐川、長良川の上流方面から次第に南に移動し、県南東部方面に移った。これに伴い県内所々で断続的に強雨が降った。 |
7月11日 | この日は午前中は雨雲が薄く、降雨も一般に弱かったが、夕刻頃から厚い雨雲が発現してきた。特に若狭湾上空に現われた高さ1万メートルを超える厚い雨雲は、20時頃県の中部地域に移動し、雨も強まって1時間30ミリを超えるような強雨をみた。 |
7月12日 | 昨夜来の強雨も次第に弱まり、日中は小康状態となった。しかし夜になると、また長良川上流の白鳥・蕪山方面で再び雨雲が高く発達しはじめ、県の中部地域に、夜半まで集中的に強い雨を降らせた。一方伊勢湾から北東にのびる厚い雨雲は、23時頃には東濃地方に北上しはじめた。 |
7月13日 | 12日23時頃東濃地方に移動してきた厚い雨雲は3時頃までに1時間20〜35ミリを超える強い雨を降らせ、このため恵那郡明智町、瑞浪市を中心に、多数の土砂崩れなどを誘発して、多くの死者を含む大災害をもたらした。この強雨は3時過ぎには弱まり始め雨は峠を越した。 |
異常気象の特性
- 梅雨末期の前線活動による典型的な集中豪雨型の降雨であった。
- 降雨は7月9日朝から13日夜までの長期にわたって断続し、県中部を中心に総雨量が、450ミリを超すところも多かった。
- この間の雨の降り方は夜間に強まり、日中弱まる傾向を繰り返した。特に11日の深夜と、12日夜半から13日未明にかけては、所により非常に強い降雨となった。
- 11日深夜の降雨は、揖斐川・長良川・飛騨川の各上流域を中心とした県の中部地域に集中した。
- 12日夜半から13日未明にかけてのものは、降雨の中心が2地域に分かれ、1つは前夜と同じ県の中部地域、他は東濃地方を中心として集中的に降った。東濃地方を襲った集中豪雨は多くの土砂崩れなどを誘発し、多数の尊い命を奪うなど、大きな災害をひき起こした。
災害対策本部
県は、7月10日18時30分、岐阜地方気象台が県下全域に大雨注意報を発表すると同時に、県地域防災計画の定めるところにより準備体制に入り、以下、警報等気象予警報の更新に応じて警戒体制、その他必要な体制をとってこれに備えました。すなわち消防防災課、防災行政無線室、道路維持課、河川課及び警備第二課に加えて、各部の主管課が24時間勤務体制に入り、情報の収集伝達に当たるとともに、避難の指示など必要な措置を講じました。
この過程で13日早暁、東濃地方の明智町、瑞浪市などにおいて山崩れなどにより家屋が倒壊し、多くの人的被害を伴う甚大な被害をうけたとの情報を得た県は、これに対処するため、5時20分、災害対策本部を設置するとともに、明智町(5時30分)及び瑞浪市(9時)に災害救助法を適用することを決定しました。
県災害対策本部では、13日早朝第1回本部員会議を開き、当面の応急対策につき協議したのをはじめ、その後も本部員会議、本部連絡員会議を重ね、災害対策が円滑に実施されるよう総合的な調整を行いました。なお、対策本部の体制は、7月28日まで非常体制をとり、同日正午より救助体制に切り替え、8月22日17時に閉鎖しました。
本部長である知事は、7月13日16時より被害が激甚であった明智町、及び瑞浪市を視察し、本部員会議において必要かつ適切な措置を指示するとともに、15日には建設大臣と同行して両地区を視察し、早期復旧について陳情しました。
また、副本部長である副知事は、7月15日及び29〜30日の3日間にわたり、東濃一円をつぶさに視察するとともに、7月21日には上京し国の関係機関に陳情しました。
自衛隊の災害派遣については、7月13日6時に恵那市の上水道復旧のため派遣要請をしたのをはじめ、明智町、瑞浪市において7月23日に撤収するまでの間、延1,822名の隊員と、延13機の航空機が出動し人命救助、行方不明者の捜索、物資の空輸などに協力従事しました。
災害救助法の適用状況
災害救助法適用状況
区分 | 適応日時 | 発令日時 | 告示番号 |
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市町村 | |||
明智町 | 7月13日0時0分 | 7月13日5時30分 | 岐阜県告示第542号 |
瑞浪市 | 7月13日0時0分 | 7月13日9時00分 | 岐阜県告示第542号 |
応急仮設住宅建設状況
区分 | 建設戸数 | 構造 | 着工月日 | 完工月日 | 入居月日 |
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市町村 | |||||
明智町 | 12戸 | プレハブ | 7月21日 | 7月28日 | 8月1日 |
瑞浪市 | 6戸 | プレハブ | 7月24日 | 7月27日 | 7月28日〜8月2日 |
その他の救助実施状況
救助区分 | 避難所 | 炊出し | 飲料水 | 被服寝具等 | ||||
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カ所数 | 収容人数 | カ所数 | 食数 | 給水人員 | 給水量 | 世帯数 | 給与数 | |
市町村 | カ所 | 人 | カ所 | 食 | 人 | 立方米 | 世帯 | 点 |
明智町 | 9カ所 | 2,835人 | 4カ所 | 9,389食 | 1,660人 | 4,980立方米 | 320世帯 | 19,903点 |
瑞浪市 | 10カ所 | 1,251人 | 27カ所 | 2,818食 | 46,400人 | 139,000立方米 | 173世帯 | 10,987点 |
計 | 19カ所 | 4,086人 | 31カ所 | 12,207食 | 48,060人 | 143,980立方米 | 493世帯 | 30,890点 |