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恵南豪雨(2000年平成12年)
恵南豪雨災害(2000年平成12年)
1大雨の経緯
9月10日頃から北陸沿岸に停滞した秋雨前線に、台風14号の影響で南から湿った空気が流れ込み、大気の状態が不安定となり、県下では10日午後から雨が降り始めました。10日22時45分に中濃、飛騨北部に「大雨、洪水注意報」が発表され、11日未明から岐阜、西濃地方を中心に激しい雨が降り始め、3時20分に岐阜・西濃地域に「大雨、洪水警報」が発表されました。
以降、県下各地域に大雨、洪水警報が発令され、断続的に大雨が降り続きました。
12日20時、美濃地方に出されていた大雨警報、同じく23時、美濃地方に出されていた洪水警報が解除されてから、県下各地の雨は小康状態に入りました。しかし、その後も断続的に、県下各地域に注意報、警報が出されるなど、不安定な気象状況が続きました。
アメダスによる県内の主な降雨状況
最大1時間雨量 | 三森山(中津川市) | 70mm | 12日5時 |
---|---|---|---|
多治見(多治見市) | 58mm | 11日21時 | |
関ヶ原(関ヶ原町) | 55mm | 11日4時 | |
最大日降水量 | 小津(久瀬村) | 284mm | 11日 |
多治見(多治見市) | 272mm | 11日 | |
揖斐川(揖斐川町) | 258mm | 11日 | |
10日20時〜12日24時 の総雨量 |
三森山(中津川市) | 442mm | |
多治見(多治見市) | 390mm | ||
小津(久瀬村) | 365mm |
2被害状況
(1)人的被害
死亡者1人
重傷者1人
(2)物的被害
住家 | 非住家 | ||
---|---|---|---|
全壊(流出) | 11戸 | 全壊(流出) | 17戸 |
半壊 | 12戸 | 半壊 | 4戸 |
一部破損 | 4戸 | 一部破損 | 10戸 |
床上浸水 | 108戸 | 床上浸水 | 18戸 |
床下浸水 | 390戸 | 床下浸水 | 58戸 |
(3)被害総額351億1754万0円
(4)避難状況ア避難勧告(7市町村384世帯1,033人)
イ自主避難(14市町村43世帯115人)
(5)道路の状況
東濃地方を中心として、国道・県道合わせて35路線・44箇所で落石崩土等による通行規制が行われた。特に上矢作町においては、国道418号をはじめとして大規模な道路損壊が発生した。
上矢作町内の被害状況
- 国道418号落石、崩土による大規模な道路欠壊
- 国道257号崩土、土砂・流木堆積、橋梁取付部欠壊
- 主要地方道瑞浪大野瀬線・瑞浪上矢作線
- 一般県道月瀬上矢作線橋梁取付部欠壊及び流出
(6)河川の状況
8河川において、溢水や内水の排水不能等による浸水被害が発生
境川(岐阜市)、大谷川(大垣市)、泥川(大垣市、養老町、垂井町)、加茂川(美濃加茂市、坂祝町)、脇之島谷川(多治見市)、辛沢川(多治見市)、上村川(上矢作町)、飯田洞川(上矢作町)
(7)土砂災害の状況
上矢作町、串原村、多治見市、瑞浪市、可児市、岐阜市、関市において合計で土石流16件、がけ崩れ17件、地すべり1件が発生(人的被害はなし)。
(8)水道の状況
9月12日から上矢作町の6簡易水道が、取水施設の流出、導水管破損、配水管破損当により供給停止
(9)電気の状況
9月12日から上矢作町の全戸(約900戸)、多治見市の約200戸、土岐市の約1,600戸で停電
(10)電話の状況
9月12日から上矢作町の6地区で537戸不通。
3県の対応
9月11日8時00分大雨による被害が予想されるため、県下各市町村に「大雨に対する警戒」
を通知。
17時00分県災害警戒本部を設置。
併せて、県災害情報集約センター開設。
9月12日4時00分県災害対策本部に切り替え。
6時00分第1回本部員会議開催、救援対策等について協議。
6時20分県警航空隊、被災地状況調査飛行。
7時40分県警機動隊18人を上矢作町へ派遣(達原地区の孤立地域で救出活動)。
8時20分県警方面機動隊15人を上矢作町へ派遣(行方不明者の捜索活動)。
8時27分県防災航空隊、上矢作町・串原村の被災状況調査
12時27分県防災航空隊、上矢作町の孤立者捜索中、1名を救出。
13時30分県警機動隊12人、ヘリコプターで達原地区の孤立地域4カ所に降下し、
情報収集活動。
15時00分知事、ヘリコプターで被災地視察に向かうが、現地天候不良にて帰投。
17時00分県警航空隊および機動隊、ヘリコプターで達原孤立地域住民55人を救出、
上矢作小学校に搬送(〜18時40分)。
18時50分第2回本部員会議開催、救援対策等について協議。
9月13日6時53分県防災航空隊、孤立地区(飯田洞他4地区)の被災状況調査
7時00分県警航空隊および機動隊、ヘリコプターで達原孤立地域住民残り17人を
救出、上矢作町学校に搬送(〜8時00分)。
9時00分大野副知事、ヘリコプターで被災地視察。
12時20分県防災航空隊、孤立地区へ救援物資(飲料水・食料品)を搬送
(〜13時13分)。
12時30分県防災航空隊、避難住民の一時帰宅に伴い住民18人を搬送。
17時30分第3回本部員会議開催、救援対策等について協議。
道路、河川、山林、農地の担当部局職員8人を上矢作町へ応援派遣
(〜14日)
9月14日・知事、桑田副知事他、ヘリコプターで被災地視察。
- 中津川市に対し、東濃用水から250m3/時の給水を実施。
- 災害救助法が適用された県内地域の被災者に対する金融上の適切な
処理について、県内総合農協および労働金庫へ要請(検査指導課)。
9月15日・東濃地域福祉事務所職員5人を上矢作町へ応援派遣。
河川課、砂防課職員5人を第二次応援派遣(〜16日)。
9月16日・上矢作町に対し、県広域防災センター備蓄の防水シート(100枚)を搬送。
9月18日・融資等相談窓口の開設。
(各農林商工事務所、農林水産政策課及び経営指導課)
- 東濃地域福祉事務所職員等6人を上矢作町へ応援派遣。
- 恵那保健所と上矢作町が消毒作業を実施(17軒)
9月19日・岐阜県災害救援ボランティア支援本部にて受付開始。
(20日〜25日にのべ463人が上矢作町で活動)
東濃地域福祉事務所職員を上矢作町へ応援派遣し、現地ボランティア
支援センター業務を支援(19日2人、20〜22日各1人)。
9月20日〜・建設管理局災害応援隊員4名を災害復旧の調査・計画立案のため派遣。
9月21日・知事、副知事、県議会代表者並びに上矢作町、串原村の町村長及び
町村議会議長が、国土庁はじめ関係省庁に激甚災害の指定、財政支援、
早期復旧等を要望。
9月25日・恵那保健所と上矢作町が消毒作業を実施(6軒)
9月26日・精神保健センター所長、保険医療課職員、恵那保健所保健婦2名が、
役場の保健婦やヘルパー等から被災者の精神面のケアについて
聞き取りを実施。
4自衛隊の災害派遣
9月12日7時25分知事から自衛隊に対し、災害派遣要請。
12日から15日にかけて応急復旧活動を実施。
(最大人員604人、車両100台、ヘリ延11機)
9月16日7時30分応急活動が完了し、上矢作町長の要請により自衛隊に災害派遣撤収
要請。
5消防本部の活動
11消防本部において、延べ630人が警戒、土嚢積み、救出、情報収集等の活動を実施
6消防団の活動
39市町村の消防団において、延べ5,656人が土嚢積み、河川警戒、避難誘導等の活動を実施
7災害救助法の適用
9月13日上矢作町(9月11日から摘要)
8被災者生活再建支援法の適用
9月19日上矢作町(9月11日から摘要)
9市町村の対応
(1)災害警戒本部、災害対策本部の設置
- 災害警戒本部(2町)
9月11日笠松町、富加町 - 災害対策本部(20市町村)
9月11日岐阜市、大垣市、美濃市、美濃加茂市、養老町、輪之内町、白川町、
笠原町、上矢作町
9月12日多治見市、中津川市、土岐市、川島町、穂積町、坂祝町、八百津町、
岩村町、山岡町、明智町、串原村
(2)避難勧告(対象世帯、人員)
9月11日19時55分大垣市2,115世帯6,719人
22時45分岐阜市430世帯1,300人
12日1時55分多治見市331世帯861人
3時00分美濃加茂市21世帯57人
3時46分上矢作町887世帯2,943人
5時30分串原村301世帯1,047人
6時10分中津川市79世帯310人
(合計4,164世帯13,237人)