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岐阜市東部・各務原市林野火災(平成14年)
岐阜市東部・各務原市林野火災(2002年(平成14年)4月5日、6日)
27時間で約410ヘクタールが延焼した過去最大規模の林野火災
2002年4月5日(金曜日)、岐阜市東部にある権現山一帯で大規模な林野火災が発生しました。折しも当日は観測史上もっとも低い湿度6%(岐阜地方気象台発表。平成19年1月末現在においても過去最低湿度)、出火前後は風速5メートルから6メートルの強い風が北西からあおり、最悪の条件下での林野火災でした。
消火活動に従事した消防機関の人員はのべ2,416人、のべ車両数321台、空中消火活動を行った防災ヘリは7機。そのほか陸上自衛隊・航空自衛隊(岐阜基地)、地元の消防団・自主防災隊のみなさんの活躍により、翌日6日には鎮火いたしました。
さいわい、住家被害はなく、消火活動中のけが人が2名という最小規模の被害に収まりました。
この林野火災の被害面積は約410haと、東京ドーム(約4.7ha)で換算して約87個分という、岐阜県での過去最大規模の林野火災となりました。
↑県防災ヘリ「若鮎1号」から撮影した当日の火災風景(2002年4月5日)
災害の概要
1火災の概要
出火場所岐阜市芥見7丁目地先で出火
出火日時平成14年4月5日13時10分
鎮火日時平成14年4月6日16時15分(約27時間後)
出火原因不明
2被害面積
被害面積合計409.73ha内訳(岐阜市250.43ha、各務原市159.20ha、関市0.10ha)
樹木が被害を受けた区域面積209.33ha内訳(岐阜市110.37ha、各務原市98.86ha、関市0.10ha)
被災前の林況大部分がアカマツを主体とした天然林
所有形態別等民有林209ha、国有林0ha
樹種天然林(アカマツ等林齢20年から80年)、人工林(スギ・ヒノキ林齢10年から40年)
保安林面積55.68ha内訳(岐阜市44.18ha、各務原市11.50ha)
↑延焼状況(黄色の部分が延焼)
3災害対策本部等
岐阜県、岐阜市、各務原市で災害対策本部を設置(県の災害対策支部は岐阜と中濃で設置)
4月5日14時00分岐阜県災害警戒本部を設置
→4月5日15時00分岐阜県災害警戒本部から災害対策本部に切り替え
→4月6日16時00分岐阜県災害対策本部から災害警戒本部に切り替え
→4月6日20時00分岐阜県災害警戒本部を解散
4被害者
死者0人
負傷者2名(岐阜市1名:消火作業中に負傷、各務原市1名:消火活動中の落石による打撲)
5被害額等
立木・建物等被害額及び山地荒廃等の被害(復旧)額684百万円
立木被害175百万円(岐阜市86百万円、各務原市89百万円、関市77千円)
建物被害等19百万円(岐阜市7百万円、各務原市12百万円)
建設資材置き場等5棟
林地荒廃の復旧予防費480百万円
山地被害額(農山村整備局所管)
山火事による林地荒廃の復旧予防に要する費用
県単緊急治山事業により木柵を設置(4月18日着工3,900千円)
砂防災害防止対策費10百万円
岐阜市の危険渓流(高天原)における砂防事業
消火活動等に要した諸経費142百万円
直接の被害ではないが、市・県・自衛隊などで要した概算経費(防災ヘリ等の消火活動経費、空中消火資機材、県、市の災害対策本部の人件費、消防の消火活動経費、自衛隊の出動の経費等の概算額)
※環境への影響
今回の火災により一度に被害を受けた森林が蓄積していた二酸化炭素の量は、最大約22万人が1年間に排出する二酸化炭素の量に相当
失われた森林が1年間に吸収する二酸化炭素の量は、年平均約4,300人が1年間に排出する二酸化炭素の量に相当
(人間の年間二酸化炭素排出量を0.3tとして換算。被害森林510haとして計算)
6消防活動
防災ヘリ等
散水回数合計535回(若鮎1号294回、若鮎2号168回、他県ヘリ73回)
消火活動ヘリ内訳(7機)
4月5日岐阜県防災ヘリ2機、愛知県防災ヘリ1機、名古屋市防災ヘリ1機、石川県防災ヘリ1機、福井県防災ヘリ1機、滋賀県防災ヘリ1機
4月6日岐阜県防災ヘリ2機
その他(偵察等)愛知県警察ヘリ1機(4月5日)、岐阜県警察ヘリ1機(4月6日)
消防機関
出動延べ人員合計2,416名
消防機関内訳
岐阜市消防本部・消防団、各務原市消防本部・消防団、中濃消防組合消防本部・消防団、羽島消防本部、羽島郡消防組合、可茂消防事務組合、山県消防組合、江南市消防組合、江南市消防本部、犬山市消防本部・消防団
出動延べ車両数合計321台
自衛隊
陸上自衛隊第10師団
自衛隊ヘリ合計5機(中型ヘリ4機(4月5日、6日)、大型ヘリ1機(4月6日))(ほかに偵察・管制ヘリ5機)
ヘリによる空中消火148回(中型ヘリ128回、大型ヘリ20回)
地上消火部隊人員合計121名(ほかに指揮要員、支援要員が出動)
車両合計延べ49台(大型車両18台、中型車両9台、小型車両18台、その他4台)
航空自衛隊基地岐阜基地(自主派遣:自衛隊法第83条第3項の規定に基づく近傍への派遣)
消防車5台ほか車両合計延べ30台
ヘリの給油支援、消火活動支援ほか支援要員が出動
経緯
- 4月5日(金曜日)
- 13時10分出火
- 13時26分火災の覚知(岐阜市・自衛隊岐阜基地)
- 13時30分県防災ヘリ要請(岐阜市)
- 13時49分県防災ヘリ出動
- 13時56分消防車警戒出動(各務原市)
- 13時58分県防災ヘリ空中消火開始
- 14時00分県警戒本部設置、市消防本部消防車10台出動(岐阜市)
- 14時05分陸上自衛隊第35普通科連隊に偵察要請(県本部)
- 14時10分情報所開設(第35普通科連隊)
- 14時14分消火資機材準備(広域防災センター)
- 14時17分三重県・名古屋市へ防災ヘリ要請(県本部)
- 14時17分岐阜市高天原ニュータウン避難勧告(岐阜市)
- 14時40分現地偵察(自衛隊岐阜基地)
- 14時50分滋賀県へ防災ヘリ要請(県本部。15時32分到着)
- 14時55分石川県・福井県へ防災ヘリ要請(県本部。15時57分、15時55分到着)
- 14時55分各務原市避難勧告(1,073世帯、3,357名)
- 15時00分県災害対策本部設置、県警警備本部設置。自衛隊出動要請を正式決定
- 15時07分江南関線通行止め(各務原市)
- 15時25分岐阜市災害対策本部設置
- 16時00分県災害対策本部岐阜支部設置
- 16時25分中濃消防組合現地本部設置
- 17時00分ヘリ燃料給油支援開始(岐阜基地)
- 17時30分自衛隊ヘリ空中消火開始
- 18時25分避難所となった各務原市蘇原第一小学校へ食料運搬、以後配食運搬(自衛隊岐阜基地)
- 19時00分日没のため県防災ヘリ活動終了
- 19時30分自衛隊空中消火活動終了
- 20時20分避難勧告解除(岐阜市)
- 21時00分東海北陸自動車道通行止め解除
- 4月6日(土曜日)
- 04時15分ジェットシューター支援散水車出動(岐阜基地)
- 05時07分自衛隊ヘリ活動開始
- 05時25分県防災ヘリ消火開始
- 05時58分消火活動開始(35普通科連隊)
- 06時27分自衛隊大型ヘリ(CH47J)消火活動開始(35普通科連隊・明野航空学校)
- 06時40分各務原市、全世帯避難勧告解除
- 06時55分岐阜市、避難者全員帰宅
- 10時20分各務原市、避難者全員帰宅
- 12時35分関市部分鎮火(中濃消防組合現地本部解散)
- 15時10分自衛隊撤収
- 16時15分鎮火(岐阜市・各務原市)
- 16時15分各務原市災害対策本部解散
- 16時30分県災害対策本部・岐阜市災害対策本部解散
- 17時35分県防災ヘリ残火処理偵察活動
- 19時00分岐阜市警戒本部解散
- 20時00分県警戒態勢解除
防災ヘリ等の活動状況について(平成14年4月危機管理室調べ)
所有者 | 機名 | 活動日 | 散水回数 | 散水量(リットル) |
---|---|---|---|---|
岐阜県 | 若鮎1号 | 4月5日 | 99回 | 59,400リットル |
4月6日 | 195回 | 117,000リットル | ||
若鮎2号 | 4月5日 | 48回 | 38,400リットル | |
4月6日 | 120回 | 88,000リットル | ||
計 | 462回 | 302,800リットル | ||
愛知県 | わかしゃち | 4月5日 | 2回 | 1,200リットル |
名古屋市 | なごや | 4月5日 | 27回 | 11,000リットル |
石川県 | はくさん | 4月5日 | 15回 | 11,000リットル |
福井県 | BLUEARROW | 4月5日 | 15回 | 7,500リットル |
滋賀県 | 淡海 | 4月5日 | 14回 | 7,200リットル |
自衛隊 | CH-47 | 4月6日 | 20回 | 140,000リットル |
UH | 4月5日 | 10回 | 6,000リットル | |
4月6日 | 118回 | 70,800リットル | ||
計 | 148回 | 216,800リットル |
当日の画像
↑県防災ヘリからの画像
↑各務原市須衛地区上空から撮影
↑4月5日各務原市須衛地区より北を望む
(県民の方から提供いただきました)
↑各務原市須衛地区
(県民の方から提供いただきました)
↑各務原市須衛地区県道北側より撮影
(県民の方から提供いただきました)
↑各務原市須衛地区のため池で給水する
県防災ヘリ若鮎1号(県民の方から提供いただきました)