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わらび粉作り道具一式[わらびこづくりどうぐいっしき]
分類 | 重要有形民俗文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 高山市 |
所有者 | 個人所有 |
指定年月日 | 昭和43年5月6日 |
高山市朝日町には自然状態での草原が何ヶ所か見られる。例えば秋神高原、胡桃高原、鳥居峠などがこれにあたる。これらの草原は牧場などとして利用されてきた。さて、ワラビはシダ植物の中で最も一般的に食用にされている種である。春になると前述の草原にはおびただしいワラビが出てくる。これを食用だけでなく、地元の産品としてきたのである。方法は、まずワラビの根を掘り取る。そして水でよく洗った後、細かくくだく。この作業を水車を用いて行うこともある。くだいたものを水に入れるとデンプンが出てきて水が白く濁る。この濁りの部分、すなわちデンプンを沈殿させて取り出すのである。この工程で用いる道具類を指定している。
このようにして取り出したデンプンのうち、上質のものは「糊」として使うために各地に出荷され、貴重な現金収入となった。また2級品は自家消費していた。夏の風物詩となっている「わらび餅」は、このワラビから取り出したデンプンでつくるのである。