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春日版大般若経[かすがはんだいはんにゃきょう]
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 岐阜市大洞 |
所有者 | 願成寺 |
指定年月日 | 昭和43年8月6日 |
写真 |
大般若経は、正しくは大般若波羅密多経といい、大般若は略称である。
大般若経の書写は、古くから行われていたが、後に春日版などによる版行も行われるようになった。春日版とは、平安時代の末期から鎌倉時代にかけて、奈良興福寺を中心として開版された経典類の通称である。当時奈良は文化の中心地で、書籍印刷の技術が発達し、木版を持って経典類を印刷したため書写とは違い大量生産が可能になった。春日版の用紙は黄紙[こうし]を用い、匡郭や界線のないのが特色である。文字は楷書、1行17字詰めで、巻子本[かんすぼん](かんすぼん=巻物)になっている。
願成寺に伝来する春日版大般若経は、この経1具600巻のうち320巻である。もとは巻子本であったのを、転読に便利なようにいずれかの時代に折本に改められた。320巻のうち、墨書の奥書が加えられているものが30巻ほどある。その中で最も古い奥書は徳治2年(1307)のもので次のようにある。
光明真言六反可唱願主定西静證
並比丘尼
徳治二年未丁二月日