選定理由 |
分布域の一部において生息条件が悪化しており、種の存続への圧迫が強まっていると判断される。 |
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形態の特徴 |
翅を広げた大きさは34mm前後の蛾である。翅の色は赤褐色で前翅に黒点や黒紋がある。 |
生息環境 |
急峻な石灰岩質のV字渓谷に生息する。人為が加えられていない落葉広葉樹林に針葉樹や常緑広葉樹を交えた環境を好む。 |
生態 |
長い前蛹期を経て蛹となり、成虫は11月の晩秋のみに出現する。光に飛来するが、樹木に糖蜜をしかけると集まってくる。幼虫の食草はツゲである。 |
分布状況 |
本州の新潟県、当県、三重県、四国の徳島県のわずかな地域に産地が知られる。県内では美濃地方の山県市と本巣市で確認されている。山県市(旧美山町地域)での密度は高い。 |
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減少要因 |
食草のツゲは石灰岩地、蛇紋岩地など特殊な立地に生育していることが多く、生息場所はもともと少ない。開発や植林、崩落などによる生息環境の消失が減少要因となる。 |
保全対策 |
生息地は植林にするのが困難な急傾斜地や渓谷沿いに限定されているが、可能な限りその場所に人為を加えないよう保全することが望ましい。 |
特記事項 |
かつて伊勢で捕獲された1個体しか記録がなかったが、山県市(旧美山町地域)に多産することがわかった。岐阜県で詳しい幼虫期が解明された。 |
参考文献 |
- 中村正直・船越進太郎(1990)イセキリガの幼生期:ツゲを食する6番目の蛾の発見、蛾類通信160:162-168
- 柳田慶浩(1990)岐阜県でイセキリガの新産地を発見、蛾類通信160:161
- 船越進太郎(1998)岐阜県山県郡美山町石灰岩地帯の蛾、誘蛾燈152:49-75
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