選定理由 |
分布域の一部において生息条件が悪化しており、種の存続への圧迫が強まっていると判断される。 |
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形態の特徴 |
翅を広げた大きさ約37〜43mmの蝶である。翅表は黒色の地色で、外縁沿いに橙色の紋がありその中に黒点が並ぶ。雌の後翅裏面には白色帯と黄色帯の2つのタイプがある。 |
生息環境 |
飛騨山脈、白山山系の標高1500m〜2200mのガレ場、草原、池塘などに生息する。 |
生態 |
成虫は標高2000m前後の産地では7月下旬、それより低地では8月初旬〜中旬に出現する。湿地や獣糞で吸汁したり、登山者の汗を吸ったりする。幼虫の食草はイネ科ではイワノガリヤス、カヤツリグサ科ではヒメカンスゲなどの報告がある。幼虫で越冬し翌年成虫になる。 |
分布状況 |
北海道、東北、本州中部、北陸地方に分布する。国外ではヨーロッパからアジアに至るユーラシア大陸、北アメリカに分布し、北緯30°付近から北緯75°付近までの寒冷地や高山に多い。県内では飛騨山脈、白山山系に局所的に分布する。 |
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減少要因 |
県内の生息地は登山者が多い地域でもあり、踏み荒らしによる食草の消失や成虫の生活域の縮小による。高山帯で環境変化が少ないと思われる場所だが、地球温暖化・酸性雨の影響もあると思われる。本来の生息地が悪化して、道路の法面で発生している場所もある。 |
保全対策 |
登山道以外の場所に立ち入らないような配慮が望まれる。 |
特記事項 |
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参考文献 |
- 岐阜県昆虫同好会(1987)岐阜県内蝶類採集調査記録集(1)だんだらちょう別冊
- 岐阜県昆虫同好会(1995)岐阜県内蝶類採集調査記録集(3)だんだらちょう別冊
- 岐阜県昆虫同好会(2001)岐阜県内蝶類採集調査記録集(4)だんだらちょう別冊
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