形態の特徴 |
翅を広げた大きさ70mm前後の蝶で、翅の地色は黒褐色で青色の光沢をもち白い斑紋を持つ。後翅の外縁には橙褐色の斑紋列がある。雌は雄より大型で白紋も大きい。 |
生息環境 |
本州では、標高1000m〜1600mの山地帯〜亜高山帯下部の渓流沿いに生息する。 |
生態 |
成虫は6月下旬〜7月中旬に出現し、雌は8月上旬まで見られることがある。高木の梢上や渓流を飛翔し、雄は好んで路上や路肩のコンクリートのなどへ吸水に降りる。雌は主に樹上で活動することが多く、まれに樹液やヒヨドリバナなどに吸蜜に訪れる。幼虫の食樹はヤマナラシやドロノキで、幼虫で越冬する。 |
分布状況 |
国内では中部地方と関東北部に局地的に分布するほか、北海道に分布する。国外ではヨーロッパからアジア大陸に分布する。県内では高山市奥飛騨温泉郷、同市丹生川町、同市高根町に確認記録がある。当県は本種の国内分布の西限とされる。 |
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減少要因 |
近年の平均気温上昇からか、キベリタテハやコヒョウモンモドキなどと同様に低標高での記録は激減し、生息域の標高の下限は上昇し、生息域の面積は縮小している。確実な減少要因の一つとして河川改修によるドロノキの伐採や、針葉樹の植林によるヤマナラシの減少がある。 |
保全対策 |
食樹であるドロノキ林やヤマナラシ林の保全・創出が望まれる。 |
特記事項 |
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参考文献 |
- 西田眞也、岐阜県の蝶
- 信州昆虫学会、信濃の蝶
- 藤岡知夫、日本産蝶類大図鑑
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