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木造十一面観音立像(願成寺)
木造十一面観音立像[もくぞうじゅういちめんかんのんりゅうぞう]
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 岐阜市大洞 |
所有者 | 願成寺 |
指定年月日 | 昭和43年8月6日 |
- 寄木造素木像
- 像高:82.0cm台座の高さ:15.0cm
木造十一面観音立像は、岐阜市大洞、真言宗智山派願成寺の本尊で、本堂内須弥壇[しゅみだん]上の厨子内に安置されている。十一面観音は、正しくは十一面観世音菩薩といい、正面の上に、さらに十個の小面をもった観音で、十一面という名称はここから来ている。平安時代になると密教の弘布につれ、その信仰は一層盛んとなり、その制作も多くなった。十一面観音の像容は、左手に蓮華をさした宝瓶[ほうびょう]をもって左胸あたりにささげ、右手は垂下[すいか]し掌を前にし、蓮台に乗っているのが普通である。
願成寺の十一面観音立像は上述の姿で、寄木造の彫眼像である。頬の肉づけはたっぷりとして、円い顔に明晰でやさしい目鼻だちが印象的で、豊麗なおもむきがある。腰から膝前にかけ、写実的で切れのいい衣文[えもん]を彫り出しているのが目立つ。髪・眼・唇だけ、墨・朱・胡粉をもって彩色され、その他は素地のままになっている。いわゆる素木像である。素地は香煙などによる薫染が少なく、また破損のところもない清純な感じのする優れた観音像である。つけている天冠や胸飾は豪華である。
この観音は、寺伝によると奈良時代の行基菩薩の作とあるが、寄木造の技法などから鎌倉時代の制作と推定される。高さ15.0cmの蓮華座と高さ100.0cmの光背は江戸時代元禄頃の制作である。