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ヒメハルゼミ

ヒメハルゼミ EuterpnosiachibensischibensisMatsumura 準絶滅危惧
  コウチュウ目セミ科
選定理由 分布域の一部において生息条件が悪化しており、種の存続への圧迫が強まっていると判断される。 写真を拡大表示します
形態の特徴 体長25mm前後の小さなセミで、全体が緑色で黒斑と緑褐色斑が混じるが、腹部は褐色である。雌の産卵管は長く後方に突出している。
生息環境 丘陵帯の沿岸地から低山地の常緑広葉樹林などの樹林に生息する。樹齢の高い薄暗い林に多く見られる。
生態 成虫は6月下旬から7月下旬にかけて出現する。合唱性があり、集団で鳴いて森林全体に響き渡る。ウラジロガシなど常緑ブナ科樹木への依存性が強い。
分布状況 日本固有種。本州、四国、九州、屋久島、奄美大島などに分布する。県内では揖斐川町谷汲、本巣市根尾、郡上市八幡町、美濃市、多治見市などに確認記録があり、美濃地方の丘陵地〜低山地に局地的な生息場所が知られている。 分布情報図を拡大表示します
減少要因 自然林の減少による。本種は主として常緑広葉樹林などの森林内に生息し、このような自然性の高い樹林が減少している。
保全対策 本種は、特に自然林に限定して生息するわけではないが、樹齢の高い森林内に生息する傾向があるため、一度消失すると復元は困難な場合が多い。したがって、可能な限り生息地を保全するよう配慮することが望まれる。
特記事項 谷汲村名礼にある花長下神社の生息地は県指定天然記念物である。
参考文献
  • 船越進太郎ほか(1990)岐阜県産セミ類の分布と生態に関する調査I.岐阜県生物教育研究会誌34:41-59
  • 船越進太郎ほか(1991)岐阜県産セミ類の分布と生態に関する調査II.岐阜県生物教育研究会誌35:31-52
  • 安藤和彦・伊藤有一・長谷川孝範(1990)岐阜県におけるヒメハルゼミの棲息地.CICADA9:61-64

文責:船越進太郎