形態の特徴 |
全長20cm以上になるハゼのような体型をした大型の魚。体は灰褐色で4本の黒褐色の帯がある。えらぶたの縁には4本のとげがあるが、このとげでアユを引っかけて食べるという言い伝えからアユカケ(鮎掛け)とも呼ばれる。 |
生息環境 |
成魚は河川中流部の早瀬の礫底などに生息し、水生昆虫や小魚などを食べる。 |
生態 |
回遊魚。成魚は夏から秋にかけ河川中流部の瀬に見られる。繁殖期は1〜3月で、晩秋頃より夜間に川を下り沿岸付近で産卵する。ふ化したばかりの仔魚は沿岸で生活し体長13mm程度の稚魚になって春頃に河川を遡上(そじょう)する。 |
分布状況 |
日本固有種。神奈川県、秋田県以南の本州、四国、九州に分布。県内では美濃地方の木曽三川流域で生息が確認されている。 |
|
減少要因 |
底生にいる魚で遡上力が弱く、従来型の階段式魚道や落差の小さい堰(せき)などでも遡上が困難であるといわれており、遡上の阻害により成魚の生息範囲が狭められていることが考えられる。 |
保全対策 |
河川の中・下流の堰などでは、本種のような底生魚でも遡上可能な魚道構造の検討が望まれ、例えば、勾配の緩やかな(1/100程度)水路を蛇行させたせせらぎ式魚道などが挙げられる。 |
特記事項 |
本種のような回遊魚は、沿岸から河川中流域まで広い範囲が生活圏となるため、成魚の生活場である中流域とともに、産卵場である沿岸域や遡上途上の水域も含め広域的な環境配慮が望まれる。 |