形態の特徴 |
全長25cmになる大型のハゼ類であるが、調査などで見つかる個体は10cm前後であることが多い。体は暗褐色で、黒色の斑紋がある。繁殖期の雄は全身が真っ黒になる。 |
生息環境 |
主として河川中流付近の流れの緩やかなよどみや渕に生息。泥底よりは砂礫(されき)底を好む。昼間、成魚は川底の石下や川辺のすき間などに隠れており、繁殖もこの隠れ場で行われる。魚などの水生動物を食べる。 |
生態 |
繁殖期は5〜7月で、大きな石の下などに産卵室を造る。稚魚は水辺の植生帯や浅瀬の石の間などで、成魚はよどみの礫底で生活する。移動することは少なく、一生を同じ水域で過ごすといわれる。 |
分布状況 |
日本固有種。愛知県・新潟県以西の本州、四国、九州に分布。県内では木曽三川の中・下流域に確認記録がある外、庄内川(土岐川)水系の中流部にも生息が知られている。 |
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減少要因 |
農業用水路改修や河川改修などによる生息場の消失。特に隠れ場となる河床の石や水辺に形成された空隙(くうげき)、植生帯などの消失。また、本種は移動性に乏しい種であるといわれ、生息場が一度消失すると復元しにくいと考えられる。 |
保全対策 |
水辺や河床に隠れ場、繁殖場となる空隙の確保に配慮する。また、稚魚の生活場となる水辺の植生帯にも配慮が望まれる。 |
特記事項 |
成魚はなわばりを形成することが知られており、1個体のなわばりは約1m2。 |