選定理由 |
既知の全ての生息地で生息条件が著しく悪化しており、個体数が危機的水準にまで減少している。 |
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形態の特徴 |
翅を広げた大きさが35mm程度のジャノメチョウ類で、翅表は黒褐色で斑紋がない。翅裏は橙褐色で眼状紋が現れるが、個体変異が大きい。 |
生息環境 |
県内では、丘陵地の斜面や谷間の明るい湿地に生息する。ただし、砂礫質の湿地自体より内外の草地を好み、周辺に低木が自生している場合が多い。 |
生態 |
成虫は5月下旬〜7月上旬に出現する。湿地の草地上を飛び、すぐに止まることが多いが、時として100m以上移動する。東濃地域での食草は主にカヤツリグサ科の植物である。幼虫で越冬する。 |
分布状況 |
本州の長野県・群馬県、東海地方および中国地方を中心に分布する。国外ではヨーロッパから東アジアに至るユーラシア大陸北中部に分布する。県内では、かつては東濃地域の湿地に比較的普通に見られらが、現在は局所的に発生している。 |
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減少要因 |
生息環境となる湿地が消失または陸地化したことが大きい。また、湿地が現存していても、孤立化によって本種が徐々に消えたところも少なくない。農薬散布の影響もあると考えられる。 |
保全対策 |
山間地の湿地の保全が不可欠である。本来の湿地植生が遷移している場合は、適切な状態に植生管理する必要がある。成虫が相互に移動可能な周辺の生息地も一体的に保全し孤立化を避ける。絶滅の危険性が高く早急な保全対策が必要である。 |
特記事項 |
東濃地域の湿地を代表するチョウであるが、衰退傾向が顕著である。御嵩町指定希少野生生物。 |
参考文献 |
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