選定理由 |
分布域の一部において生息条件が悪化しており、種の存続への圧迫が強まっていると判断される。 |
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形態の特徴 |
全長27cm前後のムクドリ位の大きさのカワセミ類である。体は全身鮮やかな赤色で、翼には紫色を帯びた光沢がある。体の割に大きい真っ赤なくちばしが特徴である。 |
生息環境 |
丘陵帯から山地帯の河川上流域の落葉広葉樹林などに生息する。樹洞のある大木の林を好む。 |
生態 |
夏鳥。越冬地は東南アジアである。5月頃に渡来し10月頃渡去する。繁殖期は6〜7月頃で巣は樹洞などに作られる。餌はサワガニ、カタツムリ類、小型サンショウウオ類、魚などで、周囲を樹林に覆われた小さな渓流や湿原など水深の浅い水域周辺で採餌を行う。 |
分布状況 |
北海道、本州、四国、九州等に渡来し繁殖する。県内では、高山市、白川村、郡上市、揖斐川町などで繁殖期に観察されている。八百津町ではスズメバチの巣で繁殖した例がある。渡りの時期には岐阜市内でも観察される。 |
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減少要因 |
生息環境となる樹林の減少による。生息場は樹洞が形成されるような大径木があり、沢筋に餌となる生物が豊富にあるような場所に限定され、低山地ではこのような生息に適した樹林が減少傾向にある。また、越冬地である東南アジアの生息環境が悪化していることも考えられる。 |
保全対策 |
本種の生息には、周囲を樹林で覆われたような沢筋が必要であり、このような環境に配慮が望まれる。また、営巣木となる樹洞が数多くあるような自然性の高い樹林は可能な限り保全するようにしたい。 |
特記事項 |
御嵩町指定希少野生生物。 |
参考文献 |
- 「山渓ハンディ図鑑7日本の野鳥」(叶内拓哉・安部直哉・上田秀男、山と渓谷社、1998)
- 「日本の野鳥590」(真木広造・大西敏一、平凡社、2000)
- 「日本の鳥550山野の鳥・水辺の鳥」(山形則男・吉野俊幸、文一総合出版、2000)
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