形態の特徴 |
殻の高さ60mm、直径47mm程になる丸くくびれた淡水産巻貝である。色は暗緑褐色でにぶい光沢がある。殻口外唇はやや厚くわずかに広がって漆黒色になる。 |
生息環境 |
冬季、極端に乾燥したり凍結したりしない暖地の平野部の水田や浅い池沼、流の緩やかな小河川の泥底に生息する。 |
生態 |
春生まれた幼貝は、水田などの浅い水域の泥底の藻類や動植物の分解物を歯舌で掻きとって食べて成長し、1年後の翌春から1ヶ月平均6〜7個、年間20〜30個程の幼貝を産む。水温20〜25℃を好み、夏季水温が36℃以上になると泥にもぐる。冬季には深みの泥底にもぐって越冬する。マルタニシは水がなくなる乾田でも、土の中で越冬することができる。 |
分布状況 |
全国に分布する。国外では朝鮮半島に分布する。県内では海津市、大垣市、羽島市、岐阜市、美濃加茂市、関市、中津川市、高山市、飛騨市、輪之内町、養老町、垂井町、池田町、大野町、揖斐川町などに記録があるが、個体数は少ない。 |
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減少要因 |
昭和37年頃から除草剤が使われるようになって急速に減少し、水田内では絶滅状態になった。また、水路の改修や水質汚染で全国的に減少傾向にある。 |
保全対策 |
生活排水や農薬などによる水質汚染を防ぎ、生育環境の保全・創出を図る。自然度の高い水域の保全に配慮する。 |
特記事項 |
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参考文献 |
- 岐阜県高等学校生物教育研究会(1974)岐阜県の動物
- (財)自然環境研究センター(2002)自然環境保全基礎調査生物多様性調査動物分布調査(陸産及び淡水産貝類)報告書
- 波部忠重(1973)17軟体動物.川村日本淡水生物学
- 紀平肇・松田征也・内山りゅう(2003)日本産淡水貝類図鑑(1)琵琶湖・淀川産の淡水貝類
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