形態の特徴 |
日本産イシガイ科貝類としては中型で殻長約7cm、殻長に比べて殻高がやや小さく輪郭は長方形である。殻頂付近から殻の中央部にかけて逆V字型のさざなみ状の彫刻がある。 |
生息環境 |
本種の属するイシガイ科貝類は河川の下流域や平野部の用水路などの緩やかな流れで、水量が多く、水質の良い砂泥底を生息場所としている。 |
生態 |
鰓葉に蓄えられた卵はグロキディウム幼生に成長した後放出され、グロキディウム幼生はヨシノボリ類などの体表に付着し寄生生活を経て親と同様な形態に変態し底生生活に入る。 |
分布状況 |
日本固有種。北海道から三重県にかけて分布する。当県の平野部の既知の産地を中心とした近年の調査では生貝を確認できなかった。 |
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減少要因 |
河川の下流域や平野部の用水路などの緩やかな流れで底質が砂泥底で水質の良い場所は広域で破壊されてしまったため、1960年代には広い分布を持ち多産したイシガイ科貝類全体の生息が危機的状況である。また近年の日本産淡水魚飼育ブームに伴う業者による採集圧も無視できない。 |
保全対策 |
水質の浄化、無秩序な護岸工事の禁止などの他、イシガイ科貝類はグロキディウム幼生の時期にヨシノボリのような底生淡水魚類に寄生しなければ成長できないため、他の淡水生物を含めた生息環境の保全が不可欠である。 |
特記事項 |
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参考文献 |
- 木村昭一・中西尚史(1997)東海地方に分布するオトコタテボシ属の1種.ちりぼたん、27(2):41-48.日本貝類学会
- 木村昭一(1994)東海地方の淡水貝類相.研究彙報(第33報):14-34.全国高等学校水産教育研究会
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