選定理由 |
大部分の生息地で生息条件が明らかに悪化しつつあり、個体数が大幅に減少している。 |
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形態の特徴 |
全長約28cmのムクドリ位の大きさのカモメの仲間である。体は全身白色で翼は細く灰色で、頭の上が黒い。くちばしは黄色で先端が黒い。体毛は、雌雄同色である。 |
生息環境 |
砂の多い海岸や河口、丘陵帯の河川中流の砂礫地(されきち)で見られ、河川中流では標高の高い中洲で繁殖する。 |
生態 |
夏鳥。越冬地は東南アジアからオセアニアに広く分布する。4月頃渡来し10月頃には渡去する。繁殖期は4〜7月頃である。海岸や河川の中洲など砂礫地に集団で繁殖する。巣は地面を浅く掘って作られる。沿岸の造成地で繁殖する場合もある。採餌は水域で行われ、ホバリングしながら狙いを定め水中へ飛び込んで魚を捕る。 |
分布状況 |
本州、四国、九州、沖縄諸島の河川、海岸の砂礫地に渡来し、繁殖する。県内での繁殖は、岐阜市、瑞穂市内の長良川と大垣市内の揖斐川中州で確認されているだけである。渡りの時期には、各地で観察されている。 |
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減少要因 |
繁殖地への人の立ち入り、車などの侵入により繁殖が阻害されている。また、河道の安定化のための中州の削除や高水敷の多目的利用などによる繁殖適地の減少も考えられる。 |
保全対策 |
繁殖地への立ち入りは慎むべきである。また、河原に繁殖場となるような砂礫地が自然に形成されるよう流路形状の工夫などに配慮が望まれる。繁殖地では、植生が繁茂しすぎないように定期的な草刈りを行うなど環境管理が望まれる。 |
特記事項 |
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参考文献 |
- 「山渓ハンディ図鑑7日本の野鳥」(叶内拓哉・安部直哉・上田秀男、山と渓谷社、1998)
- 「日本の野鳥590」(真木広造・大西敏一、平凡社、2000)
- 「日本の鳥550山野の鳥・水辺の鳥」(山形則男・吉野俊幸、文一総合出版、2000)
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