選定理由 |
既知のすべての生息地で生息条件が著しく悪化しており、個体数が危機的水準まで減少している。 |
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形態の特徴 |
全長30cm前後でハトより一回り小さい。体は青緑色で翼の先端付近に白斑がある。くちばしと足は紅色であり、体毛は雌雄同色である。 |
生息環境 |
丘陵帯から山地帯にかけて分布する。山地帯ではブナ林に好んで生息し、丘陵帯では大木のある寺社林で繁殖する。 |
生態 |
夏鳥。越冬地は東南アジアである。5月頃渡来し9月頃には渡去する。繁殖期は5〜7月頃である。スギ、ヒノキなど針葉樹の多い場所を好み、寺社の境内で繁殖する例がある。樹洞やキツツキ類の古巣でよく営巣するが、構造物の隙間や巣箱を利用することもある。餌は大型の昆虫類である。 |
分布状況 |
本州、四国、九州、対馬、佐渡で繁殖する。県内では、白川村、飛騨市宮川町、揖斐川町(旧藤橋村地域)などで繁殖が確認されている。過去には、美濃市洲原神社や下呂市金山町祖師野神社でも繁殖していた。 |
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減少要因 |
繁殖場所となる大径木の多い樹林の減少による。本種は樹洞やキツツキなどの開けた穴で繁殖する種であるが、巣を作るような巨木が減少している。また、越冬地である東南アジアの生息環境が悪化していることも考えられる。 |
保全対策 |
巨木のあるような樹林は可能な限り保全することが望ましい。また、営巣地の増加のため巣箱の設置も考えられる。 |
特記事項 |
美濃市須原の「洲原神社ブッポウソウ繁殖地」は、国指定天然記念物。(ただし、1990年以降生息は確認されていない。) |
参考文献 |
- 「山渓ハンディ図鑑7日本の野鳥」(叶内拓哉・安部直哉・上田秀男、山と渓谷社、1998)
- 「日本の野鳥590」(真木広造・大西敏一、平凡社、2000)
- 「日本の鳥550山野の鳥・水辺の鳥」(山形則男・吉野俊幸、文一総合出版、2000)
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