選定理由 |
分布域の一部において生息条件が悪化しており、種の存続への圧迫が強まっていると判断される。 |
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形態の特徴 |
全長8cm程度である。第1背鰭の棘が雌雄とも伸張し、体側に太い黒色縦条があらわれることなどでヌマチチブと区別できる。茨城県では両種の交雑が知られている。 |
生息環境 |
泥底で石や植物の枯死体などの障害物が多い汽水域に生息する。離島などの共存魚種の少ない環境では河川を遡上することもある。 |
生態 |
雑食性で、産卵期は5〜9月とされ、転石の下や空き缶の中に産卵する。 |
分布状況 |
本州から九州に分布する。国外では、朝鮮半島に分布する。県内ではヌマチチブと正確に区別した情報は全く報告されていないが、2008年〜2009年の調査で木曽川と揖斐川における生息を確認している。 |
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減少要因 |
長良川で過去に採集された標本が岐阜県博物館に収蔵されているが、現在の長良川では全く採集されておらず、揖斐川・木曽川においても生息範囲は広くないことから、下流域の干潟と抽水植物帯の減少による生息条件の悪化が減少要因となっていると考えられる。 |
保全対策 |
感潮域における干潟と抽水植物帯の確保および復元が必要である。 |
特記事項 |
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参考文献 |
- 岸由二(2001)チチブ.川那部浩哉・水野信彦・細谷和海(編)、山渓カラー名鑑日本の淡水魚3版、p.605:山と渓谷社.
- 向井貴彦(1999)チチブ属魚類の隔離と交雑による進化:「同種」と「別種」の間で.宮正樹・松浦啓一(編著)、魚の自然史、pp.147-160:北海道大学図書刊行会.
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