選定理由 |
大部分の個体群で個体数が大幅に減少している。 |
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形態の特徴 |
全長17cmで体はずんぐりし、鱗はない。大きな胸鰭の軟条数は15〜17本で体側に4、5本の暗色斑がある。鰓蓋後縁の棘は1本である。 |
生息環境 |
稚魚期以降は礫の多い河川中流域で底生生活し、そこで繁殖する。孵化仔魚は沿岸海域で浮遊生活する。 |
生態 |
県内での産卵期は12月下旬〜3月上旬で河川中流域の瀬の礫下に雄が営巣し、雌は直径2.1〜2.4mmの卵を塊で産む。孵化仔魚は海へ流下し、沿岸海域で1ヶ月程浮遊生活を送り、春に河川を遡上し、中流域の礫底で底生生活する。水生昆虫を主に食べる。 |
分布状況 |
日本固有種。本州と四国の太平洋側に流入する河川に分布する。県内では長良川及び揖斐川水系に分布する。仔魚は河口の沿岸付近に、稚魚期から成魚は河川の中流域に分布する。 |
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減少要因 |
両側性回遊魚であるため、構造物の設置により川と海との間の移動を阻害されることが減少の主要因となる。 |
保全対策 |
川と海の間での移動を確保することが必要である。 |
特記事項 |
漁業権魚種。岐阜県河川環境研究所では本種の種苗生産・養殖技術の開発に成功している。県内にはよく似た種として一生を河川上流部で過ごすカジカ大卵型が生息する。 |
参考文献 |
- 藤井亮吏(2001)日本周辺水域における淡水カジカ類の分類学的再検討.博士論文、北海道大学.
- 後藤晃(2002)カジカ.川那部浩哉・水野信彦・細谷和海(編)、山渓カラー吊鑑日本の淡水魚3版、pp.666-667:山と渓谷社.
- 駒田格知(2004)長良川下流域における魚類の生息状況-1988年から2002年まで-.淡水魚類研究会会報No.10別冊、87pp.
- 水野信彦・丹羽彌(1961)カジカCottuspolluxGunterの生態的2型.動物学雑誌、70:25-33.
- 丹羽彌(1967)木曽川の魚(河川魚相生態学中下流編):木曽教育会.
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