形態の特徴 |
体長は5cm前後で、体色は赤褐色である。背中の両脇にある隆条(背側線)は鼓膜の後ろで曲がらず直線的で、腹面は黄白色で斑点はない。幼生は背面に1対の黒点があるものが多い。 |
生息環境 |
平地ないしは丘陵地の樹林に生息し、山地には少ない。繁殖は水の残った水田や湿地で行う。 |
生態 |
繁殖期は1月から3月頃で、日当たりのよい水田や湿地で産卵する。成体は繁殖活動後、春眠し、5月頃に活動しはじめる。産卵数は500〜3000個で、5月から6月頃に変態上陸する。性成熟は1〜2年で、成長の早い個体は翌年の春には繁殖に参加する。 |
分布状況 |
日本固有種。本州、四国、九州、隠岐、大隅諸島に分布する。八丈島は人為移入である。低地、丘陵地に生息しており、県内の主な生息地は美濃地方と考えられる。 |
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減少要因 |
繁殖場となる丘陵山間の水田は耕作放棄により、乾燥化が進み消失している。また、平地でも水田の乾田化や、開発による湿地の減少により、繁殖場が急激に減少している。本種の主な生息地は、人間の社会活動が活発に行われる地域と近く、その影響を受けやすい。 |
保全対策 |
繁殖場となる水田(湿田)や湿地、成体の生息地となる繁殖場周辺の樹林などの開発を避けることが重要である。また、繁殖場と成体の生活場を、開発により分断しない配慮が必要である。 |
特記事項 |
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参考文献 |
- 前田憲男・松井正文(1999)改訂版日本カエル図鑑:文一総合出版
- 千石正一・疋田努・松井正文・仲谷一宏(編)(1996)日本動物大百科.5両生類・爬虫類・軟骨魚類
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