形態の特徴 |
体長は雄7〜12cm、雌9〜17cmで、アズマヒキガエルに似るが鼓膜が小さく不明瞭である。幼生は真っ黒で口器が発達し頭が角張って見える。卵塊は紐状である。 |
生息環境 |
成体は山地の渓流沿いや渓流付近の林床に生息し、繁殖は渓流で行われ、主に滝壺や流れの緩やかな淵に産卵する。 |
生態 |
繁殖期は4月〜5月で、主に滝壺や流れの緩やかな淵で産卵し、水中の石や倒木等に紐状の卵塊を絡ませながら産卵する。幼生は発達した口器で岩に吸い付きながら流れの中で生活する。 |
分布状況 |
日本固有種。中部地方の西半分、近畿地方の山地。県内では、美濃地方から飛騨地方にかけての丘陵帯上部から山地帯で広い範囲で確認されている。 |
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減少要因 |
生息域が山地の渓流周辺と限られており、森林の皆伐による乾燥化およびそれに伴って沢が干上がることで、成体と幼生双方の生活場が失われる。また林道脇へのU字溝の埋設により、移動が妨げられたり、小型の個体が脱出できずに死亡してしまう例も知られている。 |
保全対策 |
生息環境として繁殖場となる渓流域と成体の生活場となる樹林といった複合した環境が必要である。皆伐など林床が乾燥する行為を避けることが望ましい。またU字溝の埋設は、極力避けるか両方向への脱出路を多数設置する。 |
特記事項 |
岐阜県の南西部において、鼓膜の大きさがアズマヒキガエルとナガレヒキガエルの中間的な大きさのものが見つかっており、アズマヒキガエルとナガレヒキガエルの雑種である可能性がある。 |
参考文献 |
- 松井正文・関慎太郎(2008)カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシハンドブック80pp.:文一総合出版
- 内山りゅう他(2002)決定版日本の両生爬虫類:平凡社
- 松橋利光・奥山風太郎(2002)山渓ハンディ図鑑9日本のカエル:山と渓谷社
- 前田憲男・松井正文(1999)改訂版日本カエル図鑑:文一総合出版
- 松井孝爾(1985)日本の両生類・爬虫類:小学館
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