形態の特徴 |
体長は雄3.5〜6cm、雌4〜7cmでずんぐりした体型であり足も短い。正中線を欠く個体が多い。体色の雌雄差はなく変異に富み、背面の黒色の斑紋は丸く独立する。 |
生息環境 |
低地の水田とその周辺部に生息する。冬季も水田内及びその周辺で冬眠することが報告されている。 |
生態 |
繁殖期は比較的長く、5月〜7月にかけて水田やその周辺の止水で行われる。産卵は少しずつ移動しながら少数の卵を何回も産む。2度に分けて産卵する個体もある。水田周辺の水辺から離れることはなく、冬眠個体も水田の中やその周辺の土中などで発見される。 |
分布状況 |
日本固有種。長野県伊那谷、東海、近畿、瀬戸内地方に分布する。県内では美濃地方を中心に分布し、南部の水田地帯では比較的個体数が多い。 |
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減少要因 |
水田の改修工事、乾田化、道路やU字溝などによる水田の分断化、農薬の散布などがあげられる。また、トノサマガエルとの交雑個体が広い地域で見つかっている。水田に水を入れる時期が遅くなったことによるトノサマガエルの繁殖期の遅延などが考えられているが、詳細は不明である。 |
保全対策 |
生息環境となる湿田や池沼を保全・創出する。U字側溝などには、落下した個体が登ることができるようなスロープを取り付ける。冬季に行われる水田の改修工事前には冬眠直前の個体を捕獲して移動させるなどの配慮が必要である。 |
特記事項 |
県内の生息地でトノサマガエルとの交雑個体が遺伝子レベルで確認されている。水産庁レッドデータブック危急種(ダルマガエルとして)。 |
参考文献 |
- 松井正文・関慎太郎(2008)カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシハンドブック80pp.:文一総合出版
- 内山りゅう他(2002)決定版日本の両生爬虫類:平凡社
- 松橋利光・奥山風太郎(2002)山渓ハンディ図鑑9日本のカエル:山と渓谷社
- 前田憲男・松井正文(1999)改訂版日本カエル図鑑:文一総合出版
- 日本爬虫両棲類学会(2009)日本産爬虫両生類標準和名:日本爬虫両棲類学会HP
- 松井孝爾(1985)日本の両生類・爬虫類:小学館
- ・水産庁編(1998)IV両生・爬虫類.日本の希少な野生水生生物に関するデータブック199-248p.:(社)日本水産資源保護協会
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