形態の特徴 |
全長9〜15cmで、体色は茶褐色もしくは暗褐色で銀白色の不規則な大小の斑紋が多数ある。斑紋は腹面にも及ぶのが特徴である。卵嚢はコイル状である。 |
生息環境 |
丘陵地から山地までの河川の源流部やその枝沢周辺の林床に生息する。山腹斜面の土中に潜行し、渓畔の伏流水が流れる地下の岩や磯渓流に産卵する。 |
生態 |
成体は樹林の落葉下や腐葉土中で生活しており発見しにくい。繁殖期は4月から6月で1卵嚢あたりの卵数は4〜11個と少なく、卵黄の多い大きな卵を産む。孵化幼生は卵黄を消費するだけで成長し、変態するまで産卵場所の伏流水中に留まる。変態上陸は8月以降である。 |
分布状況 |
日本固有種。愛知・三重県及び京都府・兵庫県を除く関西地方、四国、佐賀・長崎県を除く九州に分布する。県内では、西濃・中濃・東濃地域及び飛騨地域南部で確認されている。 |
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減少要因 |
森林の皆伐による乾燥化と沢涸れで、成体と幼生双方の生息環境が失われる。また林道脇へのU字溝の埋設により、そこに進入した個体が脱出できずに死亡した例もあり、その地域の個体群は激減する。近年の豪雨による幼生の生活場の崩壊も懸念される。 |
保全対策 |
繁殖場となる渓流域と成体の生活場となる樹林が併せて必要で、皆伐など林床が乾燥する行為を避けることが好ましい。U字溝の埋設は避けるか両方向への脱出路を多数設置する。幼生が伏流水中で変態を迎え発見しにくいので注意を要する。 |
特記事項 |
以前、県内で確認されていたブチサンショウウオは、2008年にブチサンショウウオとは別種のコガタブチブチサンショウウオとされた。 |
参考文献 |
- 松井正文・関慎太郎(2008)カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシハンドブック80pp.:文一総合出版
- 日本爬虫両棲類学会(2009)日本産爬虫両生類標準和名:日本爬虫両棲類学会HP
- 大谷勉(2009)ポケット図鑑日本の爬虫両生類157:文一総合出版
- 愛知県(2009)レッドデータブックあいち2009
- Tominaga,A.andM.Matsu
(2008)TaxonomicstatusofasalamanderspeciesalliedtoHynobiusnaeviusandareevaluationofHynobiusnaeviusyatsuiOyama,1947(Amphibia,Caudata).Zool.Sci.25(1):107-114
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