形態の特徴 |
甲長は雄約13cm、雌約20cmである。背甲後部は鋸歯状で、腹甲は黒く、肛甲板の一部が橙色を帯びることがある。 |
生息環境 |
平野部にも生息するが、丘陵地や山麓部の谷川や渓流にもすむことができる。 |
生態 |
配偶期は秋および春で、主に6〜7月の早朝に産卵する。雌は地面にとっくり型の穴を後肢で掘り、長さ約40mm、幅約20mmの楕円体の卵を6〜7個産む。年2回産卵する。12月〜翌年3月に、池や川の水底、浸食により形成された横穴、岩の下や落葉の堆積の下で越冬する。ややとがった口吻で、礫の隙間のトビゲラやサワガニなどを食べる。動物の死体や熟して落ちた果実も食べ、生態系では分解者としての役割も担っている。 |
分布状況 |
日本固有種。本州、四国、九州地方に分布する。ただし北東日本のどの地域までが自然分布域なのかは不明である。県内では飛騨地方にも見られるが、美濃地方に多い。 |
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減少要因 |
農耕地の区画整理、水田耕作の放棄、河川や池沼のコンクリートやブロックによる護岸工事、ため池の埋め立てなどの開発行為により、生息場所が急激に減少している。また遺伝子汚染もニホンイシガメの減少に拍車をかけている。 |
保全対策 |
ねぐらや越冬に必要な河川や池沼などの水域と、産卵や日光浴ができる陸地を生息場所として保護、保全、創出する。外来生物、特にアライグマなどの捕食者、遺伝子汚染を引き起こすカメ、そして競合を通じて本種を圧迫するカメは駆除する。 |
特記事項 |
水産庁レッドデータブック減少傾向。 |
参考文献 |
- 内山りゅう篇(2007)今、絶滅の恐れがある水辺の生き物たち:山と渓谷社
- 岐阜県高等学校生物教育研究会(1974)岐阜県の動物:大衆書房
- 内山りゅう他(2002)決定版日本の両生爬虫類:平凡社
- 岐阜市(2000)自然環境と保全-岐阜市自然環境実態調査報告-
- 千石正一編(1979)原色両生・爬虫類:家の光協会
- 松井孝爾(1985)日本の両生類・爬虫類:小学館
- 瑞浪市(2008)瑞浪市の生きものたち
- 日高敏隆監修(1996)両生類・爬虫類・軟骨魚類(日本動物大百科5):平凡社
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