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絹本著色泰澄大師像[けんぽんちゃくしょく・たいちょうだいしぞう]
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 郡上市白鳥町長滝中切 |
所有者 | 阿名院 |
指定年月日 | 昭和45年1月20日 |
泰澄大師は奈良時代の僧で、「越の大徳」と呼ばれ、越前の人である。当時の名僧道昭や行基とも交わりがあり、顕密の教えに秀でた白山[しらやま]の開闢[かいびゃく]者として知られている。
阿名院に伝来する大師画像は絹本に着色をもって、中央に法衣に袈裟をかけ、斜め左を見上げ、坐具の上に坐った大師の像を大きく描き、その前左右に同じく法衣を付け坐具に正座した臥行者と浄定行者の像を小さく描いている。
自由な描線をもって肉線や衣紋[えもん]線などを描き、色彩を施している。彩色は薫染と褪色のためぼんやりしているが、画貌などには淡黄、唇には赤、法衣は茶色、袈裟には胡粉が見られる。描線も消えているところがあるが、絵絹は破損少なく比較的健全である。
この画像の制作は様式上、鎌倉時代末期から室町時代初期と推定される。泰澄大師の画像は少なく、この1幅は全国的にも珍しいものである。