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絹本著色聖武天皇真影[けんぽんちゃくしょく・しょうむてんのうしんえい]
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 郡上市白鳥町長滝 |
所有者 | (長滝)白山神社 |
指定年月日 | 昭和41年9月14日 |
絹地に第45代の聖武天皇の像を描いた1幅である。細く力のこもった描線、いわゆる鉄線描をもって極彩色で描かれた天皇の姿は遠山霞の絵のある衝立[ついたて]を背景にし、繧繝縁[うんげんべり]の上畳[あげたたみ]に、さらに、錦縁[にしきべり]の敷物を重ねた上に顔をやや左に向けて坐られている。冠をいただき右手に笏[しゃく]を執る。着衣は黄櫨染[こうろぜん]の袍[ほう]で色は黄茶色、これに桐、竹、鳳凰、麒麟[きりん]の文様が金泥をもって精細に描いてある。上部には大紋の幕が二本の紐をもって総角[あげまき]結びにしてかかげられている。
この一幅は、構図も巧みであり、筆致も丹念精細で優れた大和絵風の肖像画というべきである。絹地の痛みや彩色の褪色や剥落も少なく、現在まで大切に保持されてきたものであることが分かる。
この幅の表具は仏画や名号などに行う本尊表具であるが、珍しく描表具になっていて、一枚の絹地に天皇の像を描いた本紙は、表具の廻し一文字、風帯[ふうたい]及び総縁[そうべり]も極彩色をもって描き出している。