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絹本著色不動明王像[けんぽんちゃくしょく・ふどうみょうおうぞう]
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 郡上市白鳥町長滝中切 |
所有者 | 阿名院 |
指定年月日 | 昭和41年9月14日 |
古様のいわゆる仏画でなく、自由な筆力逞しい墨の線描を主とした作であるが、淡彩を施してある。岩座に立つ独尊形式で、脇侍の二童子は不在である。頭部はやや大きく、両頬は張り出して厳しい表情である。髻は古様の不動の形式によっている。
右臂は外に張り宝剣を持ち、屈臂、腰部につけて左手は垂下し、羂索をもち、面相は正面を向かず、斜右下を見下ろす姿勢である。
像容を子細に見てみると、頭の頂きは、蓮華を型どった莎髻[しゃけい]があるようであるが、これは、古様の不動明王に見られる形で、後代にはこの形のはっきりしたものはなくなり、花型に髪を結う形や小さく巻髪にしたものになる。しかし、頂き以外は巻髪のようにも見える弁髪が左肩にたれているようである。両眼も古様で大きく開いて、後代の一眼を、すが目にした所謂、天地眼でなく、唇も古様で、上下の唇を強くしめていて、口角に上下の歯を出した通形のものではない。条(「日」の下に「巾」の字)は唐草文も何もおいてなく、極めて軽快に描いてある。