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渡唐天神像[ととうてんじんぞう]

分類 重要文化財
指定別
所在地 本巣郡北方町大門
所有者 円鏡寺
指定年月日 昭和34年3月10日

 渡唐天神像は、渡宋[とそう]天神像とも呼ばれ、中国の服装で描かれた天神、即ち菅原道真の画像である。
この天神像の由来は、一説に京都東福寺開山聖一[しょういち]国師弁円[べんねん]が、嘉禎元年(1235)宋に渡り、径山[きんざん]の仏鑑無準禅師の門に入り、7年を経て仁治2年(1241)帰国し、九州太宰府の崇福寺にいたとき、歿後凡を三百年を経た道真の霊が同寺の方丈に現れ、国師にまみえて禅法を問い、そのすすめによって即夜径山におもむき、仏鑑に参禅し、一枝の梅を呈して禅の密旨を授かったという伝説にもとづいて描かれたものといわれている。
円鏡寺の所蔵の渡唐天神像は粗い絵絹に、着色をもって描かれ、道服は白色で金泥の梅鉢紋が散らされ、道服の襟から裾へ及び裾周りにかけては、紺地に唐草が精密に描かれている。嚢は緑色金襴に紅色金襴のふちとりにしてある。像の高さは40cmとなっている。描線は比較的弱く、やや神経質な作品である。落款はなく、筆者は不明である。
この1幅は製作時代の明らかな室町時代人物画の1標本であり、讃の文章は室町文学史上の一資料であり、またその文字はこの時代の書道の筆意を知る一手本である。