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平成15年度市町村民経済計算結果
平成15年度岐阜県の市町村民経済計算
平成18年3月公表
1本県経済の概況
産業別にみると、第1次産業、第3次産業でマイナスとなったものの、構成比の大きい第2次産業の製造業がプラスに転じた。その影響から県内総生産(=市町村内総生産の計)は7兆1417億円、名目経済成長率は0.5%になった。
圏域別の総生産額をみると、岐阜圏域が2兆7839億円と構成比で全体の39.0%を占めた。次いで、西濃圏域が1兆3392億円(全体の18.8%)、中濃圏域が1兆2901億円(同18.1%)、東濃圏域が1兆1145億円(同15.6%)と続き、飛騨圏域が6140億円(同8.6%)となった。
2市町村内総生産=圏域別の動向=
(1)総生産
- 産業別にみると、第1次産業、第3次産業でマイナスとなったものの、構成比の大きい第2次産業の製造業がプラスに転じた。その影響から県内総生産(=市町村内総生産の計)は7兆1417億円、名目経済成長率は0.5%になった。
- 圏域別の総生産額をみると、岐阜圏域が2兆7839億円と構成比で全体の39.0%を占めた。次いで、西濃圏域が1兆3392億円(全体の18.8%)、中濃圏域が1兆2901億円(同18.1%)、東濃圏域が1兆1145億円(同15.6%)と続き、飛騨圏域が6140億円(同8.6%)となった。
<図表1>圏域別総生産額
<図表2>総生産の圏域別構成比
平成15年度の経済成長率は、岐阜圏域、西濃圏域及び東濃圏域がプラスに転じたが、中濃圏域及び飛騨圏域はマイナスとなった。
〔岐阜圏域〕
農林水産業、卸売・小売業等の不振は続くも、製造業が大きくプラスに転じたこと、サービス業、運輸・通信業等もプラスとなったことなどにより、全体で1.3%とプラスとなった。
〔西濃圏域〕
建設業が引き続きプラスであること、製造業、運輸・通信業、サービス業等がプラスに転じたことなどにより、全体で1.2%とプラスとなった。
〔中濃圏域〕
運輸・通信業、サービス業等がプラスとなったものの、製造業、卸売・小売業が引き続きマイナスであること、建設業等がマイナスに転じたことなどにより、全体では△1.7%とマイナスとなった。
〔東濃圏域〕
農林水産業、卸売・小売業、サービス業等がマイナスとなっているものの、鉱業、製造業、建設業等がプラスとなっていることなどにより、全体で0.6%とプラスとなった。
〔飛騨圏域〕
製造業、サービス業等がプラスとなっているものの、農林水産業、鉱業、建設業等マイナスとなっていることなどにより、全体では△0.1%とマイナスとなった。
<図表3>経済成長率の推移
<図表4>経済成長率に対する産業別寄与度
(2)労働生産性
- 労働生産性(就業者1人あたり総生産)をみると、西濃圏域(709万)と中濃圏域(696万3千円)、岐阜圏域(693万3千円)が県平均(689万4千円)を上回った。一方、東濃圏域(674万2千円)、飛騨圏域(646万7千円)は県平均を下回った。また、中濃圏域を除いて昨年度より労働生産性は上がっている。
- 労働生産性が最も高い圏域と最も低い圏域との格差は62万3千円であり、昨年の格差(68万4千円)より縮小している。
<図表5>圏域別労働生産性
※国数値は「平成15年度国民経済計算」(内閣府)における平成14、15年度の値
<図表6>労働生産性格差の推移
3市町村民所得(分配)=圏域別の動向=
(1)所得(分配)
- 県民所得(=市町村民所得の計)は、人件費の抑制等から雇用者報酬が前年割れとなったが、上向き傾向の企業業績を反映し企業所得が増加したことにより、前年度比0.6%増の6兆206億円となった。
- 圏域別の県民所得をみると、県全体に占める割合は総生産とほぼ同様の構成となっており、岐阜圏域が2兆3576億円で全体の39.1%を占めた。次いで、西濃圏域が1兆1204億円(全体の18.6%)、中濃圏域が1兆947億円(同18.2%)、東濃圏域が9876億円(同16.4%)と続き、飛騨圏域が4603億円(同7.6%)となった。
<図表7>圏域別所得額
<図表8>所得の圏域別構成比
平成15年度の所得増減率(対前年度)をみると、雇用者報酬が昨年度に引き続きマイナスとなっているが、財産所得がプラスに転じたこと、企業所得のプラス幅が昨年度より増大したことから、県計では0.6%プラスとなった。
〔岐阜圏域〕
雇用者報酬、財産所得が減少したが、企業所得は増加したため、全体では1.1%プラスとなった。
〔西濃圏域〕
雇用者報酬は減少したが、企業所得、財産所得が増加したため、全体では0.4%プラスとなった。
〔中濃圏域〕
雇用者報酬は減少したが、企業所得、財産所得が増加したため、全体では0.9%プラスとなった。
〔東濃圏域〕
雇用者報酬は減少したが、企業所得、財産所得が増加したため、全体では0.3%プラスとなった。
〔飛騨圏域〕
企業所得、財産所得は増加したが、企業所得のプラス幅が小さかったことと、雇用者報酬が減少したため、全体で△1.6%とマイナスとなった。
<図表9>所得増減率の推移
<図表10>所得増減率に対する項目別寄与度
(2)所得水準
所得水準(人口1人当たり所得)は、岐阜圏域(286万4千円)と西濃圏域(282万7千円)が県平均(278万9千円)を上回った。一方、中濃圏域(275万円)、飛騨圏域(270万9千円)と東濃圏域(266万円)については、県平均を下回った。
最も所得水準が高い圏域と最も低い圏域との差は20万4千円であり、その差は昨年度若干拡大したが、今年度は再び縮小した。
所得格差の要因を探るため、所得の大部分を占める雇用者報酬(全体の約70%)と企業所得(約27%)について、人口1人当たりの数値を比較すると、各圏域とも雇用者報酬に大きな格差は見られず、格差は専ら企業所得に表れている。
<図表11>圏域別所得水準
<図表12>所得水準格差の推移
「人口1人当たり所得」が表す豊かさとは
<なぜ注目されるのか>
「人口1人当たり所得」は、経済全体の所得水準(=豊かさ)を示す指標として、マスコミなどに取り上げられることが多く、国民経済計算や県民経済計算の報告書にも必ず記載されている。
これは、包括的な「豊かさ」を示す指標が他にないことや、国際連合が示すSNA(SystemofNationalAccounts)基準に依っており、他の国や県、市町村との相互比較が可能なためであるが、次の点を理解したうえで使用する必要がある。
<何を意味する指標か>
- 「所得」の意味に注意
分子の市町村民所得は、「市町村内居住者が市町村内外を問わず携わった生産活動によって得た所得」と定義されている。ここでいう居住者とは、個人だけでなく、法人企業、政府機関等も含めた経済主体全般を指しており、市町村民所得は、(1)賃金・俸給や社会保障の雇主負担からなる雇用者報酬、(2)利子や配当、地代などの財産所得、(3)法人・個人企業の営業余剰等を示す企業所得の合計として把握されている。
したがって、「1人当たり所得」は、住民個人の給与水準を示すものではなく、企業の利潤などをも含んだ経済全体の所得水準を表していることに注意が必要である。 - 「豊かさ」とは多様なもの
市町村民所得が対象としているのは、あくまでも市場価格で測ることができる財・サービス、つまり、お金に換算できる価値だけである。例えば、ボランティア活動は含まれていないし、居住環境の豊かさ、郷土愛なども測ることができない。
豊かさを測る尺度(豊かさの定義)は、価値観によっても多様であることから、「1人当たり所得」は、市町村のある一面をとらえた限定的な「豊かさ」と言えよう。
4推計の概要
(1)推計目的
市町村民経済計算は、市町村経済の規模、構造、所得水準などを明らかにし、市町村経済の実態を包括的(マクロ的)に把握する総合的な地域経済指標として、行財政政策に役立てることを主な目的としている。
(2)推計対象
市町村内総生産、市町村民所得(分配)について推計する。
(3)推計方法
県民経済計算の推計結果をもとに、各種統計調査、照会資料などを使って、県数値を各市町村に按分している。従って、市町村計は県民経済計算の数値と等しくなる。
(4)推計期間
平成15年4月1日から16年3月31日まで
(5)地域区分
圏域 | 圏域内市郡名 |
---|---|
岐阜圏域 | 岐阜市、羽島市、各務原市、山県市、瑞穂市、本巣市、羽島郡、本巣郡 |
西濃圏域 | 大垣市、海津郡、養老郡、不破郡、安八郡、揖斐郡 |
中濃圏域 | 関市、美濃市、美濃加茂市、可児市、郡上市、武儀郡、加茂郡、可児郡 |
東濃圏域 | 多治見市、中津川市、瑞浪市、恵那市、土岐市、土岐郡、恵那郡 |
飛騨圏域 | 高山市、飛騨市、下呂市、大野郡、吉城郡 |
(6)産業区分
第1次・第2次・第3次産業の区分は、経済活動別分類を次のとおり組み替えている。
第1次産業:農業、林業、水産業
第2次産業:鉱業、製造業、建設業
第3次産業:電気・ガス・水道業、卸売・小売業、金融・保険・不動産業、運輸・通信業、サービス業、
政府サービス生産者、対家計民間非営利サービス生産者
(7)主な用語の解説
市町村内総生産:市町村内の生産活動によって新たに生み出された価値(付加価値)の総額
市町村民所得:生産要素を提供した市町村内居住者(家計・企業・政府)に分配された所得
雇用者報酬:労働を提供した雇用者に対する付加価値の分配額
財産所得:金融資産、土地及び無形資産(著作権、特許権等)の貸借から生じる所得の移転
企業所得:企業に分配された所得(営業余剰に財産所得の受取を加え、支払を控除したもの)