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絹本著色当麻曼荼羅[けんぽんちゃくしょく・たいままんだら]
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 岐阜市西之荘 |
所有者 | 立政寺 |
指定年月日 | 昭和46年9月14日 |
この曼荼羅は、奈良県当麻寺[たいまでら]に伝わる浄土曼荼羅を写し描いたものである。この浄土曼荼羅は所在にちなみ普通当麻曼荼羅といい、また略して当曼[とうまん]とも呼んでいる。
当麻曼荼羅は、浄土教所依[しょえ]の経典仏説観無量寿経の所説に基づき描かれたものである。中央に阿弥陀三尊、仏の頭上からは光台[こうだい]、楼閣が現れ、空中には飛鳥や楽器が描かれている。三尊の両側には宝楼、道場樹[どうじょうじゅ]、下方には宝池がある。池に浮かぶ蓮華からは新生の菩薩が現れている。前面には舞場があり、往生人を迎えるさまを描いている。
また、左・右・下の三方には外縁がある。右縁には、観無量寿経の六縁(12重)、左縁には、定善[じょうぜん]十三観、下縁には散善[さんぜん]三観(九品往生)を描いてある。これらの図には側に11経文の要語数句を記入している。
下縁中央に一つの区画があり、天平宝字七年(763)六月二十三日の年紀のある21行413字の縁起文がある。
立政寺伝来のものは、これを忠実に写したもので、描写は真摯丹念である。本紙や画面の痛みは甚だしく、描線の消滅、賦彩の褪色や剥落も多い。絹時には、長さ10cmから15cmの人間の頭髪と思われるものが、所々に貼り付けられ、絵はその上に描かれている。