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絹本著色刀八毘沙門天像[けんぽんちゃくしょく・とはつびしゃもんてんぞう]
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 岐阜市大洞 |
所有者 | 願成寺 |
指定年月日 | 昭和43年8月6日 |
毘沙門天は、護法神四天王である持国天、増上天、広目天、多門天の中の多門天の別名である。
その姿は武将形であり普通は身に甲冑をつけ、左手に宝塔をささげ、三叉戟[さんさほこ]という三つ又の槍のような武器を持っている。
しかし、毘沙門天の異形として兜跋[とはつ]毘沙門天がある。この兜跋は、後に誤り伝え刀八[とはつ]と書き、刀を8口持たせた多臂[たひ]像が生まれた。願成寺に伝わる刀八毘沙門天像はこれで、手は12本あり、前方に出た4本の手には通常の毘沙門天の持ち物である宝塔と戟[ほこ]、さらに鍵と宝珠を持っている。左右に出た8本の手には1口ずつの刀を持ち、火焔光背を背にし、獅子に乗った姿で描かれている。鉄線描で、背景は紺青になっており、赤と緑の顔料が用いられている。画面は褪色したところがあるが、損傷はなく立派な仏画である。制作は室町時代と推定される。刀八毘沙門天の彫刻や絵画の遺品は少なく、県の指定もこれが最初である。