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絹本著色五大力菩薩像[けんぽんちゃくしょく・ごだいりきぼさつぞう]
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 岐阜市西之荘 |
所有者 | 立政寺 |
指定年月日 | 昭和46年9月14日 |
五大力菩薩は、五大力吼[く]菩薩ともいい旧訳の仁王[にんのう]経、すなわち鳩摩羅什[くまらじゅう]訳の仁王般若波羅蜜多経に説かれている菩薩で、仏法僧の三宝を護持する国王の国土を護る菩薩五尊をいう。普通中央に、胸に法輪を捧持し、火焔光背を背にして台座に坐った金剛吼菩薩を描き、四隅に竜王吼、無畏十力吼、雷電吼、無量吼の四菩薩を配す。五菩薩は通常の菩薩のように温慈な姿ではなく、明王像にみる恐ろしい忿怒形になっている。この図は朝廷において鎮護国家を祈る仁王会[え]の修行の折りの本尊となるものである。
立政寺伝来の五大力菩薩像は、型のとおり中央に金剛吼菩薩を描いてあり、その表現は巧みで燃えさかる火焔を背にした仏身は、威圧するように迫ってくる、四隅に描かれた四菩薩は、手あるいは足を上げ、頗る活動的な姿勢で描かれ、これも強い迫力があり優れた仏画である。この画像は、薫染が甚だしく賦彩の剥落や描線の消滅もみられる。