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那比本宮の五輪塔及び宝篋印塔[なびほんぐうのごりんとうおよびほうきょういんとう]
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 郡上市八幡町那比 |
所有者 | 那比本宮神社 |
指定年月日 | 昭和56年5月19日 |
この五輪塔1基及び宝篋印塔2基は、那比本宮神社近くの大きな岩の前に建造されているが、3基とも造塔のときから移転された形跡がない。また、欠損した部分もなく、完形を残している。
五輪塔の基台の高さに対する幅の比率や屋根のゆるやかな反りなどは、鎌倉時代後期の様式を示すものとみられ、東隣の宝篋印塔(東塔)とほぼ同時期の作とみるべきである。
3基のうち東端に位置する宝篋印塔(東塔)は、相輪の基部がやや太く不釣合の感があるが、全体としては均整がとれ、作柄も良好である。紀年銘はないが、方立ての外傾度が少なくて古式を示し、造塔信仰が盛んになるにつれて塔型が小さくなった時期の優品とみられ、鎌倉時代後期の作と推測できる。
宝篋印塔(西塔)は、東塔に比べて、その作柄が全体的に粗く、相輪では伏鉢や九輪のうち三輪が省略されるなど、様式上での簡略化が目立ち、また全体的に優美さを欠いている。基台の幅に対して高さの比が高く、また相輪上の宝珠・請花の形からみても、様式上、その造塔年代は東塔よりも遅れ、南北朝〜室町時代の製作とみられる。