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垂井町連合自治会連絡協議会
「垂井町連合自治会連絡協議会」へアドバイザーを派遣しました
垂井町内には130の自治会があり、7地域に分かれています。その地域単位の代表7人で構成されたのが、垂井町連合自治会連絡協議会です。2ヶ月に一度、定例会を開催し、各地区の情報共有や町からの各種依頼事項などを協議しています。令和6年度の定時総会において、これからの自治会活動を学ぶため、令和6年4月13日に講演会を開催しました。
「ぎふ地域の絆づくり支援センター」では「岐阜県地域の課題解決応援事業」により、この講演会に講師として、NPO法人ぎふNPOセンター副理事長の北村隆幸氏を派遣しました。
主な講演内容
これからの自治会活動とは?
<自治会の課題と自治会加入のメリット>
・自治会の課題
「自治会へ加入するメリットが無い」、「若者の自治会への加入が少ない」などの自治会員の意識低下、更には「役員の負担増加」や「高齢化」による役員のなり手がない、行事等の人員の確保の難しさなどが挙げられる。
・自治会加入のメリット
自治会に加入することにより、地域とのつながりが生まれ、防災においてのつながり、そして防犯でのつながりができ、いざというときに「命を救うこと」ができることが、自治会加入のメリットといえる。
阪神・淡路大震災においては、77.1%が近隣の住民等によって救出されている。このことは、地域のつながり、それをつくる自治会の有無が住民の生死を大きく分けているものと理解できる。
災害時に役立つ「あそこには高齢のご夫婦が住んでいたよね」「小さいお子さんのいるご家庭だったよ」などの情報は、近隣の住民が一番知っている。だからこそ、地域とつながる自治会への加入が大切となる。
先進的な自治会の事例紹介
・防災事例
「防災ささえあいMAP」
住宅地図に透明フィルムを重ねて、災害時に「誰が、誰を助けるか」という観点から、支援が必要となるお年寄りや体の不自由な方の安否確認や避難支援をしている。(長崎市式見町下浜自治会、美濃加茂市下米田)
・防犯事例
「富岡犯罪ゼロプロジェクト」
青色防犯パトロール活動のパトロール用車両の燃料費等の維持費を、地元企業が企業名入りの青パト応援シールを貼り広告代金を支払うことで支援する仕組みづくりをしている。企業側は地域貢献の一環としての支援を地域住民に認知してもらえるし、自治会は運営費の確保ができることになる。(関市 富岡)
・孤独、孤立の対策事例
「孤独死ゼロ作戦」
あんしん登録カードの活用や民間委員との協力による見守り活動、いきいきサロンの運営をとおして、「高齢者の孤独、孤立に重点的に取り組む」という意思表示をしながら事業を行っている。(松戸市 常盤平団地)
「緊急入院時お助け袋」
一人暮らしの方の緊急入院時に、100円均一ショップにて購入した歯ブラシセット・コップ、着替えなど、必要に応じて安価で安心して購入できる事業を行っている。(長崎市 鶴の尾町)
自治会本来の事業に注力するためには
忙しい自治会長さんが、事業に注力するには「自治会でやることを減らす」ことが重要。
・集金方法の業務軽減事例
自治会費、各種協力金、募金などの集金について、全ての自治会員分の集金袋を作成し、集金する項目ごとに日時を定めて、班長宅にお金を持ってきてもらう。この事例は、高齢者の多い自治体においては、有効な事例と言える。
また、協力金などは負担を任意とし、払わない人は集金袋の項目に斜線を引いて自由意志を表示できるようにしている。(美濃加茂市 下組自治会)
アンケート結果からの分析
岐阜県の令和5年度自治会に関する実態・課題調査のアンケート結果や地域自治会等のアンケートを基に現状の問題を分析すると、自治会未加入者が増加傾向にあることが分かった。
美濃加茂市古井地区のアンケート結果では、未加入者の割合は30代が20%、40代が20%、70代が20%となっており、若い世代の未加入者のみならず高齢者の未加入者も多い。さらに、脱退の理由として、一番多いのが「高齢・病気で役職が出来ない」「入る必要性を感じない」であり、「特に理由はない」という回答も多く見られた。
自治会へ未加入の理由は、「入る必要性を感じない」というものが多く、それ以外では「役を引き受けたくない」「会費が高い、支払いたくない」というものも多かった。
また、「役員・班長をやらなくていいなら加入しても良い」「誘われていないから加入していない」という意見もある。
自治会に未加入でいることの不安な点は、「ゴミ出しがしにくい」「広報が届かない」などであり、特にゴミについての不安が大きいと分析される。
分析の結果からの提案事項
・自治会維持の対策
命を守るためには、自治会に加入していることが有効なので高齢者こそ自治会に加入する必要性がある。そのために高齢者の退会を減らす対策が必要である。
対策としては「高齢者の役職免除」「高齢者の自治会費の減額」の検討や「高齢者サービスとしての移動支援」「ゴミ出しサポート」「準会員制度のようなもの」など仕組みづくりが挙げられる。
・役員の負担対策
自治会の行事や組織の棚卸を行う。地域内で行事が重なっているものや、会の名称は違っても構成メンバーが同じケースなどの役職の見直しや会議の統合を検討する。
実際の事例では、交通安全協会や老人会での見守り活動とPTAの見守り活動の統合。(関市ほか)
・自治会のデジタル化の問題
自治会業務のデジタル化支援の要望は、51.2%であった(岐阜県アンケート結果)。
自治会でのデジタル化は、初めから電子回覧板のレベルではなく、LINEのグループ登録やオープンチャット機能(LINEの個人情報の洩れないグループ機能)でも活用できる。PDFで回覧板を回すこともオープンチャット機能で可能である。
・運営の活性化
小学生向け、保育園児向けのイベントなど、子ども会を含めて子どもを巻き込んで、子どもと共に取り組むことが有効。
・学びあいの場所の事例
自治会長座談会(美濃加茂自治会長の一部にて) 協力金の集め方、神社との関係、自治会費の金額、規約についてなど、身近な疑問点を語り合える場として機能している。
大切なのは「つながりづくり」
防災、防犯さらに高齢者の生活を守るための、大切な第一歩は「つながりづくり」といえる。
例えば、防災について常に防犯見守りマップを作りましょうということは、少しハードルが高くなってしまう。平時の「つながりづくり」こそが自治会活動の第一歩。
高齢者の孤立を防ぐということに関しても、つながりをいかにつくるかということが大切である。
このような取り組みをする中で、まずは交流の活動を見直していくという取り組みが非常に大事となる。
講演会場 |
講演の様子 |
講 師 |
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