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恵那市社会福祉協議会中野方支部

恵那市社会福祉協議会中野方支部(恵那市)へアドバイザーを派遣しました

 恵那市中野方地区は、町を縦断する県道68号線を端から端まで走ると約7分の小さな町です。自分たちのことは自分たちでと活動する『おきもり(※)の町』(※方言:助け合い)として住民がお互いにアイデアを持ち寄り、助け合って、安心して暮らすこと ができる福祉のまちづくりを進めています。中野方地区では一人暮らし高齢者宅を週に1度訪問し、2か月に1度「見守り報告会」にて訪問時の様子等、情報共有を行っています。

【自治加入率76.9%(令和5年4月現在)、人口1,420人、総世帯数552戸(令和5年7月現在)】

 現在、中野方地区では防災対策として、自治会長が見守りマップを年1回更新し、要援護者の把握に努めています。そこで、次のステップとして、これを生かした、災害時に素早く対応できる個別支援計画の作成を考えています。そのため、 恵那市のモデル地区として先進的な取り組みを行っている三郷町野井地区の支援計画、 マップ作成、役割分担の仕方など具体的な方法を参考にするため、令和5年7月13日に、三郷町野井宮の前第一自治会長 三宅直也氏による講演会を行いました。民生委員、福祉委員、自治会長等、計41人が参加しました。

主な講演内容

<三宅氏の活動>

 今から15年程前に恵那市で2年間に4人の孤独死が発生した。この時、人的フォロー以外にICT通信の技術を導入したらどうか、無償のボランティアだけではもたないから新しい仕組みを作ったらどうかと考えた。その後、通信系の会社の経営をしていた経験や人脈を活かし、「一人暮らしの高齢者」と「離れて暮らす家族」をつなぐ人感センサーを開発。また、「地域サポーター」と連携して地域の困りごとは地域で解消するという「地産地消」の仕組みを作り、このサービスを提供するむすびGroup代表として活動している。また、現在、三郷町野井宮の前第一自治会長も務めている。

地域の現在(いま)をみんなで創る

●住み慣れたまちで安心して暮らし続けるために

 少子高齢化をはじめとし、誰もが経験したことのない新しい時代を迎えようとしている。今までとは違った複雑・複合化した課題が生じており、行政だけで対応することは難しいのが現状。地域との連携が必要不可欠である。これからは、住民一人一人が、「まちづくりをするのは自分たち」という意識を持ち、主体性を持って生活していく必要がある。

 

●重層的支援体制整備事業(※)

(※)重層的支援体制整備事業とは、市町村における既存の相談支援等の取り組みを活かしつつ、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するため、1相談支援、2参加支援、3地域づくりに向けた支援を一体的に実施する事業。(※実施を希望する市町村による任意事業)​

  高齢者だけでなく、住民の日々の生活の困りごとは、地域で解決できることも多い。(ゴミ出し、食事、買い物、話し相手等)『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民によって解決できる仕組み創りが大切。

 

 

●地域づくりは費用も必要:経済を地域でまわし、”三方よし!”(※)の仕組みで地域活性化も目指す。

(※)”三方よし”とは「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」。売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい事業であるということ。​

 現在、日本の経済状況より、無償のボランティアだけに頼るのは難しい。その中で、持続可能な仕組みを作る必要がある。日常のお困りごとで業者や専門的技術が必要な際には、地域の中で人をつなぎ、当事者、地域事業者、地域住民、三方よしの仕組みづくりを目指す。

 

 

防災の取り組み

<防災に特化し取り組むきっかけ>

 令和4年9月、防災訓練にて下記問題点が明確になった。自治会長を務めている為、この課題を何とかできないかと考えた。

1:災害が起こった際の住人情報の把握(連絡方法、家族情報等)

2:より実践的な防災訓練を行うこと

3:非常食、備品の記録の更新(期限切れ等管理)


< 令和4年防災訓練時訓練参加者>

三郷町野井自治会 

総戸数:312戸

参加戸数:220戸

不参加:92戸

避難困難者:39名

 

【問題点を解決するために】

1:住民の情報把握方法

(現状)

・班単位で管理(日々の生活で状況把握できている為、情報の更新なども認識しやすく現実的かつ、有効的な情報を利用できると考えられるため)

・移住者も増加しているので、自主的に管理できる台帳案を作成中。

 この台帳は災害時だけでなく、5年先の年齢別人口予測、耕作放棄地予測等にも利用できると考えている。

 

2:実践的な防災訓練を行うために

・ハザードマップと誰がどこに住んでいるかを認識することによって、避難困難者を中心に誰がどのように避難するかを考えることができる。

・昼or夜・平日or休日、水害の場合、地震の場合など、データをもとに具体的に災害を想定して個々の避難場所などを確認し、次の防災訓練の準備を進めようと考えている。

 

3:非常食、備品の記録の更新

・一度見直しをし、腐食化しないデータ作成を行っている。

 

【今後の取り組み】

 恵那市社会福祉協議会中野方支部は野井地区の“平時の見守り”“災害時の支援計画、マップの利用、役割分担の仕方等”を学び、さっそく、8月の地域福祉懇親会にて自治会、民生委員と協力していきながら意見交換会を行う予定となっている。

 

 

講演の様子(1)
講演の様子(2)