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地すべり対策事業
地すべり対策事業
岐阜県の地すべり箇所は、大部分が東濃地方に分布しています。東濃地方では第三紀層の堆積盆地が形成されており、地層の各層厚は比較的薄く、粘土を層状に挟んでいるため地すべりが発生しやすい地質となっています。平成9年の調査では、県内には88箇所の地すべり危険箇所がありますが、そのうち約70%が東濃地方に集中しており、その他は飛騨地方や郡上北部、西濃地方西部などに点在しています。
本県においては、昭和33年の地すべり等防止法制定以来、瑞浪市日吉町地内の白倉地区をはじめとして地すべり危険箇所以外で発生したものも含めて29地区で地すべり等対策事業を実施しています。今後は近年地すべり活動が活発化した箇所への対策工事について、事業化を進めていきます。
主な地区の地すべり対策の概要は次のとおりです。
南垣外地区
南垣外地区は瑞浪市日吉町南垣外地内に位置し、面積38haを有する地すべりです。昭和35年頃より南垣外川護岸の変状等が発生し始め、当初小ブロックを対象とした対策が実施され、昭和51年までに一旦概成しました。しかし、昭和59年から変状が現れ、平成元年度に頭部滑落崖の拡大、舌端部施工済の護岸にクラック等の変状が発生しました。調査の結果、長さ300m、幅750m、すべり面の深さは最大65‐80m程度という大ブロックの顕在化が確認されたため、排土工・押え盛土工を中心に対策工を進め、平成24年度に対策工事が完了しました。
南垣外地区(瑞浪市日吉町)
被災状況頭部滑落崖
対策状況
災害関連緊急地すべり対策事業・特定緊急地すべり対策事業
風水害や震災等により地すべりが発生、または地すべり現象が活発化したときに緊急的に対策を実施し、人家や公共施設などに対する被害を防止または低減することを目的とした事業です。
また、災害関連緊急地すべり対策事業と一体的な計画に基づき、災害発生箇所の応急的対策だけではなく周辺地域を含めた抜本的な対策を集中的かつ重点的に実施する特定緊急地すべり対策事業があり、最近では平成18年5月に東横山地区(揖斐郡揖斐川町東横山)で発生した地すべりにおいてこれらの事業を実施し、平成23年12月に完成しました。
東横山地区は、揖斐郡揖斐川町東横山地内に位置し、平成18年5月12‐13日にかけて発生した地すべりです。1級河川揖斐川左岸に面し、幅約150m、奥行き約135m、地すべり移動岩塊約25万m3の規模で、地すべり発生直後、約5万m3の土砂が河川に流出し、河道の3分の2を閉塞するとともに町道が被災しました。応急対策として、排水ボーリング、頭部排土工を実施し、さらに地すべり本体の安全度を高めるため、滑落崖排土工、押え盛土工、法面工等を実施しました。
工事実施中の平成20年9月に西濃地方を襲った豪雨により再び被災したため、地すべり防止施設災害復旧事業(完成済み部分)および地すべり対策事業により対策工事を実施しました。
東横山地区(揖斐郡揖斐川町東横山)
被災状況
対策状況
また、平成23年9月20日の豪雨により地すべりが発生した可児郡御嵩町中地内の愚渓地区についても災害関連緊急地すべり対策事業の採択を受け、対策工事を実施し、平成24年度に完了しました。