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土砂災害
土砂災害・過去の災害事例
土砂災害とは
大雨や地震などによって、山肌やがけが崩れたり、土砂や石混じりの水が谷や川から流れ出たり、火山の噴火などによって火砕流などが流れ出すことによって、人命や財産などが脅かされる自然災害です。
土砂災害の主なものとして、「土石流災害」、「がけ崩れ災害」、「地すべり災害」、「火山災害」などがあります。
土砂災害には、いろいろな前兆現象があります。
また、恐ろしい土砂災害を防止するために、現在さまざまな対策が行われていますが、それだけでは十分に災害を防ぐことはできません。被害を最小限におさえるためには、ひとり一人が気象情報などに注意して早めに避難することが大切です。
「土石流」とは?
谷や斜面に貯まった土や石、砂などが、梅雨や台風などの集中豪雨による水と一緒になって一気に流れ出してくるのが「土石流」です。
「がけ崩れ」とは?
地面にしみ込んだ水分が土の抵抗力を弱め、弱くなった斜面が突然崩れ落ちるのが「がけ崩れ」です。
「地すべり」とは?
比較的緩やかな斜面において、地中の粘土層など滑りやすい面が地下水の影響などでゆっくりと動き出す現象が「地すべり」です。
最近の土砂災害
平成26年8月14日から18日豪雨による土砂災害
平成26年8月14日から18日にかけて、本州付近に前線が停滞し、南海上から県内に湿った空気が流れ込んだため、大気の状態が不安定になり、各地で激しい雨が降りました。高山観測所においては、日降水量が232ミリ、時間最大降水量が57ミリを観測しました。
この豪雨により、飛騨地方を中心として土砂災害が発生し、緊急な対応が必要であったことから、災害関連緊急砂防事業、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業の採択を受け、事業を実施しました。
被害状況
(瀬戸ヶ洞、荏名:高山市江名子町地内)
対策完了
(瀬戸ヶ洞:高山市江名子町地内)
対策完了
(荏名:高山市江名子町地内)
平成24年9月17日から19日豪雨による土砂災害
平成24年9月17日から9月19日にかけて、九州の西の海上から日本海を北北東に進み沿海州で温帯低気圧に変わった台風16号に向かって南から湿った空気が流れ込んだため、大気の状態が不安定になりました。特に、岐阜県では18日明け方から19日朝にかけて所々で激しい雨が降り、春日観測所(揖斐郡揖斐川町)では24時間で500ミリ、1時間では54ミリ、下山観測所(大垣市上石津町)では24時間で435ミリ、1時間では70ミリの降雨を観測しました。
この豪雨により西濃地方を中心として土砂災害が発生し、緊急な対応が必要であったことから災害関連緊急砂防事業の採択を受け、事業を実施しました。
被害状況
(滝根谷:大垣市上石津町時山地内)
被害状況
(滝根谷:大垣市上石津町時山地内)
対策完了
(滝根谷:大垣市上石津町時山地内)
平成23年9月台風15号による土砂災害
平成23年9月13日に日本の南で発生した台風第15号は、はじめは発達しながら北に進みましたが、その後は西北西に向きを変えて南西諸島付近に進み、20日9時には種子島の南南東約200キロの海上に達しました。その後は次第に速度を上げながら北東へ進み、21日14時頃には静岡県浜松市付近に上陸し、1時間におよそ45キロの速さで東北東に進みました。
9月20日、岐阜県では台風の接近に伴い、本州上に停滞した前線に南から湿った空気が流れ込んだため、大雨になりました。また、9月21日には台風本体の雨雲により大雨となりました。
雨は岐阜県全域で激しく降り、特に多かったのは西濃・中濃南部・東濃・飛騨南部で、24時間で多治見観測所(多治見市)では384ミリ、成山観測所(加茂郡白川町)では331ミリ、夏焼観測所(下呂市夏焼)では350ミリの雨量を観測しました。
この豪雨により中濃地方を中心としてがけ崩れや土砂災害が発生し、緊急な対応が必要であったことから災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業等の採択を受け、事業を実施しました。
被害状況
(成山:加茂郡白川町下佐見地内)
対策完了
(成山:加茂郡白川町下佐見地内)
被害状況
(愚渓:可児郡御嵩町中地内)
対策完了
(愚渓:可児郡御嵩町中地内)
平成23年8月豪雨による土砂災害
平成23年8月22日、本州の南岸に停滞していた前線が次第に北上し、前線に向かって南から湿った空気が流れ込み大気の状態が不安定となりました。このため、22日夜遅くから26日明け方にかけて、県内の所々で局地的に猛烈な雨となりました。
大雨は、ほぼ県全域に降りましたが、特に雨が多かった地域は飛騨南部と中濃北部で、24時間雨量では上呂観測所(下呂市萩原町)で290ミリ、和良観測所(郡上市和良町)では253ミリの雨量を観測し、1時間雨量では行合観測所(関市上之保)で96ミリを観測しました。
この豪雨により飛騨南部地方を中心としてがけ崩れや土砂災害が発生し、緊急な対応が必要であったことから災害関連緊急砂防事業の採択を受け、事業を実施しました。
被害状況
(倉洞谷:下呂市上小坂町地内)
山腹への被害状況
(倉洞谷:下呂市小坂町地内)
対策完了
(倉洞谷:下呂市小坂町地内)
平成22年7月15日豪雨による土砂災害
東北地方から日本海沿岸に停滞した梅雨前線に向かって、温かく湿った空気が流れ込みました。また、上空の気圧の谷が西日本から東日本へゆっくり北東に進み、この気圧の谷の通過に伴う寒気の影響で、大気の状態が非常に不安定になりました。このため岐阜県では7月15日の昼過ぎから夜遅くに、中濃から東濃にかけて局地的に非常に激しい雨が降り、多治見観測所(多治見市)では1時間に83.5ミリ、24時間では175ミリの雨が降り、御嵩観測所(可児郡御嵩町)では1時間に76ミリ、24時間では250ミリの雨が降りました。
この豪雨により中濃地方を中心としてがけ崩れや土砂災害が発生し、緊急な対応が必要であったことから災害関連緊急砂防事業等の採択を受け、事業を実施しました。
被害状況
(野上:加茂郡八百津町上地内)
被害状況
(野上:加茂郡八百津町上地内)
対策完了
(野上:加茂郡八百津町上地内)
被害状況
(盛住:可児市兼山盛住町地内)
被害状況
(盛住:可児市兼山盛住町地内)
対策完了
(盛住:可児市兼山盛住町地内)
平成21年7月25日豪雨による土砂災害
梅雨前線が東シナ海から日本海を通り東北地方へ伸び、日本列島のはるか東の海上に高気圧があったため、本州付近へ南から暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が不安定となりました。このため岐阜県内では、中濃地方を中心として時間雨量100ミリを越える猛烈な雨となり、太之田観測所(関市中之保地内)では1時間あたり139ミリを観測するなど、記録的な豪雨となりました。この豪雨の影響により、関市中之保で土砂や流木が流出して山腹が著しく荒廃し、緊急な対応が必要であったことから災害関連緊急砂防事業の採択を受け、事業を実施しました。
渓流の荒廃状況
(古屋洞:関市中之保地内)
家屋への浸水被害状況
(古屋洞:関市中之保地内)
対策完了
(古屋洞:関市中之保地内)
渓流の荒廃状況
(板ヶ洞谷:関市中之保地内)
山腹崩壊状況
(板ヶ洞谷:関市中之保地内)
対策完了
(板ヶ洞谷:関市中之保地内)
平成20年9月2日から3日豪雨による土砂災害
日本列島の南と日本海にあった低気圧の影響により、暖かく湿った空気が流れ込んだため、2日昼過ぎから3日明け方にかけて岐阜・西濃を中心に雷を伴う大雨となりました。この雨雲は岐阜・西濃の一部の狭い範囲に発達した状態で停滞したため、大垣市上石津町付近、垂井町付近、旧揖斐川町付近で1時間に約100ミリの猛烈な降雨となり、アメダスによる総雨量は、大垣市上石津町で389.5ミリ(これは当時の9月の月降水量の平年値257.5ミリの1.51倍)を示すなど記録的なものとなりました。
この豪雨により、西濃地方を中心としてがけ崩れや土石流が多数発生したことから流域が著しく荒廃し、緊急に対応する必要がありました。そのため、この地域では災害関連緊急砂防事業の採択を受け、土砂災害対策を実施しました。平成21年度からはこの地区の再度災害防止を図るため、平成23年度までの3年間で砂防えん堤の整備など土石流対策を整備する砂防激甚災害対策特別緊急事業を実施しています。
また、この豪雨により斜面崩壊の被害を受けた大蔵台(岐阜市大蔵台)地区においては災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業の採択を受け、対策工事を実施しました。
被害状況
(浅取谷:揖斐郡揖斐川町上野)
家屋への被害状況
(西谷川:不破郡垂井町梅谷)
集落への被害状況
(大谷:揖斐郡揖斐川町上野)
対策完了
(大谷:揖斐郡揖斐川町上野)
斜面崩落状況
(岐阜市大蔵台)
対策完了
(岐阜市大蔵台)
平成12年9月恵南豪雨災害
平成12年台風14号の影響により、県内では9月11日午前0時頃から雨が降り始め、その後次第に強まって午前3時20分に「岐阜・西濃」、午後6時10分に「中濃」、午後7時20分に「飛騨北部」、午後8時17分には「東濃」と県内各地で大雨洪水警報が発表されました。午後11時-午前0時の1時間には、恵那郡上矢作町(現・恵那市)で80ミリの最大時間雨量を記録し、11日の降り始めから12日までの雨量は595ミリと記録的な豪雨になりました。この豪雨により、河川の増水や氾濫、がけ崩れ、土石流が東濃地方を中心として県内各所で発生し、多大な被害をもたらしました。
特に、恵那郡上矢作町では一級河川上村川が氾濫し、国道418号を各所で決壊させ下流の人家及び国道257号にも被害を与えました。
各渓流でも、土石流が発生し流出した土砂が人家を破壊し道路を塞ぐなど住民生活に危害をもたらしました。
土石流による被害
犬間沢(恵那市上矢作町達原)
松ヶ沢(恵那市上矢作町紺屋井戸)
がけ崩れによる被害
相走(恵那郡串原村相走)
小田子1(恵那市上矢作町小田子)
災害関連事業による対策状況
犬間沢(恵那市上矢作町達原)
被災状況
対策後
平成11年9月15日の豪雨災害
平成11年9月14日午後3時頃より、台風16号の影響によって県下に降り始めた雨は、その後次第に強さを増し、午後5時40分に「岐阜・西濃」「中濃」地方、午後7時55分には「飛騨」地方に大雨・洪水警報が発令され、各地で激しい雨を降らせました。この集中的な豪雨は翌15日になっても衰えず、飛騨市河合町(下小鳥ダム観測所)では午前10時から11時までの時間雨量が64ミリに達し、また天生観測所では14日の降り始めから15日午後5時までの降水量は395ミリという記録的なものとなりました。
その結果、各地で大規模な災害が発生しました。
二ツ屋谷(吉城郡河合村)
- 土石流により小鳥川合流点付近の人家2戸が流されました。
溝口谷(益田郡小坂町)
- 大雨の影響で土石流とともに大量の流木が、下流にある人家に直撃しました。