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中切上野遺跡の調査成果を紹介します
所在地
高山市中切町(たかやましなかぎりまち)
地図<外部リンク>
時代
縄文時代、弥生時代、古墳時代、古代
平成29年度発掘区全景(北西から)
平成30年度発掘区全景(東から)
発掘状況
中切上野遺跡は、川上川左岸丘陵部の尾根及び緩傾斜地に立地する遺跡です。平成29・30年度の発掘調査では、縄文時代前期と中期の竪穴建物(たてあなたてもの)や土坑墓(どこうぼ)、弥生時代の土坑墓、古墳時代初頭の方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)を確認したほか、遺跡内に所在する中切上野5号古墳などを調査しました。また、縄文土器・弥生土器・土師器(はじき)・須恵器(すえき)・灰釉陶器(かいゆうとうき)・中近世陶磁器・土製品類・石器・石製品類・金属製品が出土しました。縄文時代前期の竪穴建物は傾斜地に連なるように形成され、それに寄り添うように土坑墓があるなど、飛騨地域の丘陵部における集落を知る上で重要な発見となりました。
縄文時代の竪穴建物
縄文時代の竪穴建物は、前期35軒と中期20軒を確認しました。写真上は前期の竪穴建物で南側の傾斜地に掘り込まれ、床面には柱穴の他、炉(赤で囲まれた部分)を確認しました。写真下は中期の竪穴建物で炉石が4辺ある石囲炉が確認されました。
前期54号竪穴建物 完掘状況(東から)
中期25号竪穴建物 完掘状況(東から)
縄文・弥生・古墳時代の土坑墓
縄文時代の土坑墓は、前期30基と中期12基を確認しました。土坑墓の中から埋葬(まいそう)された人の頭部を覆ったと考えられる土器や胸部にのせたと考えられる礫(れき)が出土しました。当時の埋葬方法を知る上で重要な発見となりました。写真上は前期、写真中は弥生時代のものです。また、下の写真は古墳時代初め頃の方形周溝墓で、溝状(みぞじょう)に掘削した排土を利用して墳丘(ふんきゅう)が構築されています。
23号土坑墓 土器・礫出土状況(南東から)
15号土坑墓の土器出土状況(北から)
5号方形周溝墓の完掘状況(南東から)