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木造釈迦如来坐像(臨川寺)

木造釈迦如来坐像[もくぞうしゃかにょらいざぞう]

分類 重要文化財
指定別
所在地 関市小屋名
所有者 臨川寺
指定年月日 平成29年10月13日

木造阿弥陀如来立像
[写真提供:岐阜県]

  • 制作時代:南北朝時代
  • 像高:62.5cm

 臨川寺の木造釈迦如来坐像は、鎌倉時代から室町時代の禅宗寺院に多くみられる宝冠釈迦である。高い髻[もとどり]に華麗な髪型、切れ長で細い眼に両端が下がる眉や抑揚のある唇などの独特の生命感ある顔立ち、太い耳朶[じだ]、やや大きめの頭部、角張った体に厚みのある衣、大まかで深めの衣文などの特徴を確認できる。これらは、南北朝時代に活躍した中世院派系仏師の諸作品に通じる要素である。
 中世院派の主流には、院吉[いんきつ]、院広[いんこう]、院遵[いんじゅん]がいる。院吉の代表作には、国指定重要文化財の静岡県方広寺「木造釈迦如来及両脇侍坐像」(観応3年(1352)制作)が、院広、院遵の代表作には山梨県指定重要文化財の棲雲寺「木造釈迦如来坐像」(文和2年(1353)前後の制作)がある。本像は、これら中世院派系仏師の作品の特徴を備えながらも、衣文の構成や抑揚の違い、控えめな表現、全体的な柔らかさなど、主流の作品とはやや異なる様相を示す。しかし、彫刻の完成度は高く、中世院派系仏師らによる作品の展開を考える上で重要な位置を占める作品である。